ショットやアプローチでボールがグリーンに着地したとき、思ったより跳ねたり、逆に急に止まったりすることがあります。
その違いを左右する要素の1つが「グリーンコンパクション」です。グリーンコンパクションとはグリーンの硬さを示す指標で、ボールの挙動に大きく関わります。
この記事では、グリーンコンパクションの意味や測定方法、目安について初心者にもわかりやすく解説していきます。

ゴルフのグリーンコンパクションとは
ゴルフでは、グリーンの状態がスコアに直結すると言っても過言ではありません。ボールがどれだけ跳ねるか、止まるかといった挙動を予測するうえで、グリーンの硬さを示す指標が重要になります。そこで登場するのがグリーンコンパクションです。
コンパクションの意味
グリーンコンパクションとは、グリーン表面の「硬さ」を数値化したものです。土壌の密度や水分量、芝の管理状態などによって変化し、この数値が高いほどグリーンは硬く、低いほど柔らかい状態を表します。
グリーンが硬ければボールは弾みやすく、止まりにくくなります。逆に柔らかいグリーンでは、落下の衝撃を吸収しやすく着弾と同時にピタッと止まるような挙動が多くなります。
コンパクションは、プロのトーナメントはもちろん日々のコース管理にも利用されている基準です。選手にとっては戦略の材料となり、運営側にとっては公平な条件づくりやコース管理の指標にもなります。
スティンプとコンパクションの違い
グリーンの状態を表す指標として、もう1つよく使われるのが「スティンプ」です。こちらはボールの転がりやすさ、すなわち「速さ」を示す数値です。具体的には、一定の傾斜から転がしたボールが何フィート進んだかを測定します。
一方、コンパクションはあくまでもグリーンの硬さを示す数値であり、速さとは異なります。スティンプと混同されがちですが内容が異なる点を覚えておきましょう。
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グリーンコンパクションの単位や目安
グリーンの硬さを数値で知ることができれば、ボールがどのように止まるかをより正確に予測できるようになります。
ここでは、グリーンコンパクションの単位や測定方式、数値ごとの目安、プロトーナメントでの基準まで、アマチュアにもわかりやすく整理して解説します。
コンパクションの単位
グリーンコンパクションは主に2つの方法で測定され、それぞれに異なる単位が使われます。
1つは「絶対硬度」と呼ばれる方式で、kg/cm²(キログラム毎平方センチメートル)という圧力の単位を用いて測定します。これは、一定の重さのピンや金属棒を地面に押し込んだときに、どれだけの圧力が必要かを示す数値です。数値が大きいほどグリーンは硬いということになります。
もう1つが「指標硬度」と呼ばれる測定方法で、mm(ミリメートル)単位で表示されます。こちらは、山中式コンパクションメーターなどを使い、一定の重りを落下させたときに沈み込む深さを測る仕組みです。例えば、24mmという数値は、押し込み深さが24mmを意味し、目安として約12kg/cm²の絶対硬度に相当するとされます。
なお、テレビ中継やコース管理で表示される「コンパクション」の数値は、多くの場合この指標硬度(mm)をそのまま用いています。そのため、kg/cm²との関係が明記されていない場合は、単位の違いに注意が必要です。
コンパクションの目安・平均
アマチュア向けのコースとプロトーナメントでは、設定されるグリーンの硬さに差があります。以下の表は、代表的な数値とその特徴をまとめたものです。
| 絶対硬度 (kg/cm²) | 指標硬度 (mm) | グリーンの状態 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| ~10 | ~23 | 柔らかい | ボールが沈み込みやすく、着地後すぐに止まる |
| 11〜12(平均) | 23.5〜24 | 標準的 | 一般ゴルフ場に多い。自然なスピンで止めやすい |
| 12〜14 | 24〜25 | やや硬め〜硬い | スピンや高さを使わないと止まりにくい |
| 14以上 | 25以上 | 非常に硬い(ツアーレベル) | 落下地点でほとんど止まらず、転がりやすい |
※数値は目安であり、使用する測定器やコースごとの基準により前後することがあります。
日本国内の一般営業コースでは、11〜12kg/cm²前後のコンパクションが平均的です。一方で、プロツアーでは戦略性や難易度を高めるため12〜14kg/cm²に設定されることが多く、明確な違いがあります。
マスターズなどの大会でのグリーンコンパクションは?
マスターズや全米オープンなど、メジャー大会ではさらに高いコンパクションが設定される傾向があります。大会の性格や天候によっても変動はありますが、13〜14kg/cm²以上が基準とされることもあり、グリーンはボールをほとんど弾き返すような状態になります。
さらに、試合会場の地質により同じコンパクションでもボール挙動が異なる場合もあります。例えば、郊外のゴルフ場で地質が岩などの硬い素材の場合、日本では考えられない挙動を示すケースも少なくありません。
こうした環境では、高弾道でスピン量の多いショットでないと、ピン手前に落としても大きく転がり、ピンをオーバーします。メジャー大会のグリーンは、ツアープロでさえ手こずるほどシビアな条件といえるでしょう。
アマチュアゴルファーにとってはなじみの薄い数値かもしれませんが、グリーンの状態を数値でとらえる意識があれば、ショットの組み立てや距離感の把握にも役立ちます。
グリーンコンパクションの測り方
グリーンの硬さは目視だけでは判断が難しいため、専用の測定器を使って数値で確認します。ここでは、一般的な測り方や器具の種類、関連する指標について解説します。
コンパクションメーターの使い方
コンパクションメーターとは、グリーンの「硬さ(コンパクション)」を数値で測るための器具の総称です。測定の仕組みとしては、先端がとがった金属製の棒を地面に押し込むか、重りを落として地面への沈み込み量を量る方式が主流です。
現在、最も一般的に使われているのが「山中式コンパクションメーター」です。これは、先端が円錐状になった鉄針を垂直に地面に押し込み、バネの圧力と連動した目盛を読み取ることで硬さを測定します。
表示は「絶対硬度(kg/cm²)」または「指標硬度(mm)」のどちらかで示され、いずれも測定を2〜3回繰り返し、その平均値をその日のコンパクションとします。
山中式のコンパクションメーターとは
山中式は、コンパクションメーターの中でも特に広く使用されている器具です。特徴としては、比較的深い位置(芝の根から数cm程度)まで鉄針が刺さるため、地中の締まり具合や根の張り方を含めて総合的に硬さを測定できる点が挙げられます。
山中式で表示される「mm」の値は「指標硬度」と呼ばれ、例えば24mmという数値であれば、相対的に12kg/cm²程度の絶対硬度に相当するとされます(※正確な換算は器具により異なります)。
なお、最近ではグリーン表面のごく浅い部分だけを測定する「ファームネスメーター」も一部で導入されています。女子ツアーなどで使われており、選手の体感により近い硬さを示すことができるのが特徴です。
参考:スティンプメーターとは
グリーンの「硬さ」と並んで重要なのが「速さ」です。これを測るのが「スティンプメーター」と呼ばれる器具です。
スティンプメーターは約90cmのアルミ製のV字型レールで、傾けることでボールを一定の高さから転がし、どれだけ転がったか(フィート単位)でグリーンの速さを数値化します。複数回転がし、平均距離を取って速さの基準とします。
アマチュアコースでは8〜10フィート程度が一般的で、プロのトーナメントでは11〜13フィート前後、マスターズなどでは14フィートを超える場合もあります。
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コンパクションによるグリーンの特徴
グリーンのコンパクション(硬さ)は、ボールの挙動やゲーム全体のテンポに大きく関わってきます。
ここでは、コンパクションの高低によってどのような特徴が現れるのかを整理してみましょう。
コンパクションが高い(硬い)グリーン
コンパクションが高いグリーンは、地面が締まっていて弾力が少なく、ボールの落下エネルギーをあまり吸収しません。結果として、ボールは着地後に大きく跳ねたり、スピンがかかっていても止まりづらくなったりします。
さらに、硬すぎてピッチマークが残らないほどの場合には、グリーンに着弾しても最終的にオーバーする場合があります。
硬いグリーンでは、ボールが止まる位置の予測が難しく、狙った場所に確実に打つスキルが必要です。また、パット時に風や傾斜の影響を受けやすくなる点も特徴です。
コンパクションが低い(柔らかい)グリーン
一方、コンパクションが低いグリーンは、土壌がゆるく、芝のクッション性も高いため、ボールの落下エネルギーをしっかり吸収します。着地したボールはピタッと止まりやすく、強めに打ってもスピンや芝の抵抗で転がりません。
ただし、柔らかいグリーンではボールマークが残りやすく、場合によっては凹みによってパッティングラインが乱れる点に注意が必要です。
また、朝露や雨の後などは特に柔らかくなりやすく、距離の打ち分けがしやすい一方で、予測したより転がらずショートしやすい傾向も見られます。
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コンパクションによるグリーンの攻め方
グリーンコンパクションを理解すれば、アプローチやパッティングで無駄なミスを減らすことができます。ここでは、硬さの違いに応じた攻め方のポイントを整理していきます。
硬いグリーンでは「止め方」を意識する
コンパクションが高い(硬い)グリーンでは、ボールは着地後によく跳ねて転がりやすくなります。このような状況では、「どこに落とすか」だけでなく「どう止めるか」を考えることが重要です。
弾道を高く上げることで、落下角度をつけてバウンドを抑えたり、しっかりとバックスピンをかけて転がりを減らしたりといったテクニックが必要になります。
特にピンが手前に切ってある場合や下り傾斜のグリーンでは、手前から転がすルートを狙うなど、慎重な距離感と判断が求められます。
柔らかいグリーンでは「高さよりも精度」
コンパクションが低く柔らかいグリーンでは、ボールは着地と同時に強くブレーキがかかります。スピンをかけなくても止まりやすいため、高さを出す必要はあまりありません。
柔らかいグリーンでは、ボールを必要以上に上げにいかず、コントロール重視のショットで「狙った場所に落とす」精度を大切にするとよいでしょう。特に花道やグリーン手前のスペースを使えば、リスクを抑えつつピンを狙いやすくなります。
また、ボールマークが残りやすいため、自分や他人のラインに影響が出ないようマナー面への配慮が必要です。
グリーンの硬さと速さを組み合わせて読む
コンパクション(硬さ)とスティンプ(速さ)は別の指標ですが、両方をセットで考えることでグリーン上の判断がより的確になります。
例えば硬くて速いグリーンでは、ボールが止まりづらく転がりも伸びるため、手前から慎重に攻める必要があります。一方、柔らかくて遅いグリーンでは、ショートしやすくなるため、やや強めに打つ意識が必要になるでしょう。
さらに、パッティングでは硬さの影響でカップ手前の芝目や傾斜の効き方が変わる場合があります。下りラインではボールが浮き気味になり、ブレやすくなる点にも注意が必要です。
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グリーンコンパクションを理解すると、ボールの止まり方や転がり方を予測しやすくなり、グリーン周りの戦略が組み立てやすくなります。ただし、実際のコースで毎回異なるコンパクションを読み取るのは、アマチュアゴルファーには簡単ではありません。
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