コロナ禍においても好調だった近年のゴルフ業界。最近はインドアゴルフの新規開業などを目にする機会が多くなっています。
今回は、そのような疑問を解消する記事です。実態を把握して、自信をもって進出しましょう。
インドアゴルフビジネスとは?
少し前まで、ゴルフ練習やレッスンは「屋外」(アウトドアゴルフ)というのが常識でしたが、最近は「屋内」(インドアゴルフ)も一般化しつつあります。
アウトドアゴルフ(打ちっぱなしも含む)を新規開業するのには広大な土地を必要とするほか、いろいろな施設も必要になり、結果として莫大な費用と手間がかかります。しかし、インドアゴルフであれば比較的開業しやすく、都心でも営業できるため、今後ますますビジネスとして人気が高まることが予想されます。
さて、この章ではインドアゴルフビジネスについて、練習場とスクール、それぞれの特徴についても整理しましょう。
インドアゴルフ練習場
まずは「練習場」としてのインドアゴルフです。最近多い形態は、町中のビルにテナント入居して、3〜10打席程度のブースを準備しているケースです。
経営形態は、以下のタイプに細分されます。
無人対応か有人対応か
最近は、「無人対応で24時間営業」という経営スタイルも増えてきています。とはいえ、営業時間中はトラブル対応の問い合わせなどが発生するため、いつでも電話対応できる体制でいるか、さもなければFC加盟などを検討するケースも多いでしょう。
有人対応の場合、オーナー(あなた)だけで対応可能な営業時間であれば、人を雇う必要はないですが、それでは「深夜や早朝」の顧客需要を取り逃がします。収入と費用のちょうどよいバランスを考慮して、営業時間と雇用の有無を決める必要があります。
ゴルフシミュレーターを導入するかどうか
ゴルフシミュレーターの導入も、一般的になってきました。ご存じのとおり、シミュレーターを使えば、各地の有名コース(日本はもとより世界中の)でプレーできるほか、自分の球筋やフォームチェックも行うことが可能です。複数人でのゲーム的使い方なども、盛り上がります。
ただし導入には、かなりの費用が必要です。新品の場合、数百万円以上、中古でも100万円は必要です。
時間や人目を気にしないで練習できるインドアゴルフ場は、「シミュレーションゴルフ」の性能向上に比例するように注目が高まっています。しかし経営者の目線でみると、「シミュレーションゴルフは思ったほど儲からない」という噂があります。本当でし[…]
インドアゴルフスクール
つぎは「ゴルフスクール」としてのインドアゴルフです。実は、ゴルフ練習場の86.3%でスクールを実施しているため、スクールと練習場を分けて考えるのは難しい、というのが実態です。
インドアゴルフスクールの場合、レッスンプロなどを常駐(あるいは、オンライン指導)させて、ティーチングします。この分野には、ライザップなどのビッグネームも参入してきており、マーケットは大きいと判断できます。
(出典:全国ゴルフ場経営調査結果|(有)ケージーアール出版 、(株)ゴルフ経営研究所)
その他
「真剣にゴルフを練習する」という目的ではないのですが、ゴルフバー、ゲームセンターや温泉施設への設置も増えています。
この場合は、ゲームの要素が強いです。たとえば、以下のようなものがあります。
- 打球の当たる壁面に「当たり的」が設置してあり、当たると景品がもらえる
- (シミュレーターの機能として)複数人がゲームクリアを目的として、順番に打球を打っていく
インドアゴルフビジネスのメリット・デメリット
インドアゴルフのメリット・デメリットをみていきます。最初に表で確認したのち、個別の説明を行います。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
他業態との比較 | 1.業界進出のハードルが低い | 1.難しい内装工事が必要となる場合がある |
アウトドアゴルフとの比較 | 2.天候に左右されない 3.人目を気にしない 4.データ分析できる 5.時間を気にしない | 2.球筋の確認ができない |
メリット
1.大掛かりな設備や、専門的な知識が、他業態ほど必要ではありません。FC加盟も可能です。
2.アウトドアの場合、夏は暑さ対策、冬は寒さ対策が必要です。北国では降雪によるクローズの場合もあります。インドアの場合は、これらの心配は不要です。
3.インドア練習場は、アウトドアより人目に付きにくい構造です。したがって、初心者が「隣のブースの教え魔」に煩わされることなく、心ゆくまで練習ができます。つまり、そういった初心者を集客できます。
4.シミュレーターが導入されている場合、スイングやボールの初速・発射角などデータを確認することができます。3.の初心者とは逆に、中〜上級者の集客に役立ちます。
5.営業時間が長い(24時間営業もある)ので、ユーザーの都合のよい時間に(深夜や早朝でも)練習ができます。ユーザーの多様な「練習時間ニーズ」に対応できます。
デメリット
1.通常、内装工事を行うのですが、場合によっては「天井高さ」を確保する工事が必要になるケースがあります。これは、ドライバー(1W)をフルスイングした際に天井に触れない高さが必要だからです。
2.アウトドアのように、肉眼で打球の行方を確認することはできません。
参考:インドアゴルフのユーザーメリットは?
インドアゴルフ練習場は町中に存在することから、アクセスが便利です。会社帰りに、そのまま立ち寄り、練習可能です。
アウトドアの場合は、職場からいったん家へ帰り、そうしてから車で向かうことになります。その行為は、結構おっくうです。特に天気が悪い場合は、なおさらです。
また前章のメリット3.4.5.で述べた、「人目に付かない」「データ分析できる」「時間を気にしない」については、そのままユーザーのメリットになります。
インドアゴルフビジネスへの需要
次に、「マーケットはあるのか」という切り口で、みていきます。
「コロナ禍の安全な外遊び」と言われて久しいゴルフですが、今回はインドアゴルフについて取り上げてみます。以前は、ゴルフ練習やレッスンといえば、ほぼアウトドア練習場でしたが、最近はインドアゴルフ練習場をよく見かけるようになっており、きっ[…]
インドアゴルフの利用者人口は?
インドアゴルフの利用者人口に関する直接的な統計資料はないようです。しかし、以下のような根拠から、増加傾向にあることは推定できます。
- インドアゴルフ練習場の数は、増加しています。全国合計では1,322カ所(前年比+57)、うち東京では535カ所(+59)となっています。
- 冒頭リード文で述べたように、ゴルフ場売上高は増加しています。プレー単価は漸減傾向にあることから、プレーヤーは増加していると予想できます。
(出典:「ゴルフ事業(練習場)に関わる実態調査(2022.10)」|公益社団法人全日本ゴルフ練習場連盟)
インドアゴルフの市場規模は?
前述の全日本ゴルフ練習場連盟の資料に、「関東インドアゴルフ場のスクール生徒数の前年比(2022年上期)」という項目があり、118.9%と表示されています。アウトドアも含めた全体のスクール生徒数前年比が104.9%なので、インドアの伸びが大きいことがわかります。
「インドアゴルフ施設数も増加している」「スクール生徒数の割合もアウトドアより多い」というこの二つの事象から、インドアゴルフの市場規模は拡大しつつあるということが想像できます。
【事例】インドアゴルフビジネスの収支
前提として、ロケーションや事業規模、経営スタイルにより、その売上・費用とも大きく異なります。
以下の事例は、船井総合研究所が自社の「インドアゴルフのコンサルタント事業」として例示しているケースを記載しています。
<事業モデル>
- 100坪10打席無人化(打席数で「地域一番」を目指す)
<ターゲット>
- スコア70~100(主に、実力分析サービスを提供する)
<物件条件>
- 天井高さ3m
- 24時間運営が可能な場所
- 上下階への音問題クリア(鉄骨であれば問題なし)
- 打席分の駐車場(提携でも可)
- 車で10分圏内に、7万人の商圏
以上の条件で、初期費用からみていきます。
インドアゴルフビジネスの売上例
- 年間売上:6,096万円
インドアゴルフビジネスの初期費用
- 初期費用:5,500万円
(内訳)
- 内装:2,000万円(坪あたり20万円)
- マシン(弾道計測機能付きシミュレーター):2,500万円
- 販促費:600万円(初期会員集客のため)
- その他:400万円(備品等)
上記初期費用に加え、「立ち上げコンサル費」360万円
近年、インドアゴルフ練習場やゴルフスタジオなど屋内でゴルフを楽しんだり練習したりできる施設が増えています。これらの施設を運営するインドアゴルフビジネスを始めるには、どれくらいの資金が必要なのでしょうか。今回は、インドアゴルフ[…]
インドアゴルフビジネスの費用例
年間費用の内訳は、以下のとおりです。
- 家賃:1,440万円(月額坪当たり12,000円)(地方では、5,000~8,000円くらい)
- 人件費:564万円(無人時間帯有り)
- 販促費:180万円
- 顧客管理費:110万円
- リース・償却:552万円
- その他:144万円
- 運営コンサル:360万円
この結果、年間営業利益を2,745万円と試算しています。したがって、初期費用は2.1年で回収できる計算です。
インドアゴルフビジネスを始めるときはフランチャイズの活用もおすすめ
ここまでインドアゴルフのビジネスについて、いろいろな面から分析してきました。進出を検討されている方は、概要をつかめたかと思います。
「大体わかった。なんとなくできそうだ。でも、最後の踏ん切りがつかない。」そういう場合には、フランチャイズの利用を検討されてはいかがでしょうか。もちろん費用は掛かりますが、じょうずに使えば費用以上の運営ノウハウを得ることができるでしょう。
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