ゴルフクラブの中でも、短くて扱いやすいのがショートアイアンです。
ショートアイアンを打ち込んでゴルフを覚えた方も多いはずですが、意外なことに苦手意識を持っているゴルファーも少なくありません。
そこで本記事では、「ショートアイアンがなぜか打てない」「引っ掛けやシャンクのミスが出る」といった方に向けて、原因や対処法について解説します。
打ち方のコツや練習方法についても紹介するので、ぜひ参考にしてください。

ショートアイアンとは
ゴルフのショートアイアンは、短い距離を正確に打つために使うクラブです。
狙った場所へボールを運ぶことを求められるため、飛ばすことよりも方向性や距離感のほうが重要になります。
ショートアイアンの出番はグリーンオンを狙う2打目・3打目となることが多いので、スコアメイクにおいて大切な役割を担っているといえます。
それだけに「ショートアイアンだけはしっかり打たなければ」と考えるプレーヤーも多く、ミスしたときのショックは大きくなりがちです。
練習通りなら簡単に打てるはずなのに、コースではプレッシャーがかかるクラブ。それがショートアイアンなのです。
ショートアイアンの番手
一般的には8番・9番のことをショートアイアンと呼びますが、明確な定義はありません。
かつては1~3番を「ロング」、4~6番を「ミドル」、7~9番を「ショート」と区別していました。
1~3番が使われなくなったことでアイアンの区分も変わりましたが、昔のなごりで7番やPW(ピッチングウェッジ)をショートアイアンに含める場合もあります。
いずれにしても、ショートアイアンの目的が「狙った場所へ正確にショットする」ことには変わりません。
ここでは、ショートアイアンの番手別の特徴や飛距離を表で比較してみましょう。
アイアン番手 | 飛距離(男性) | 飛距離(女性) | ラン |
---|---|---|---|
7番アイアン | 120〜160Y | 70〜110Y | 10Y前後 |
8番アイアン | 110〜150Y | 60〜100Y | 7〜10Y |
9番アイアン | 100〜140Y | 50〜90Y | 5〜10Y |
PW | 90〜130Y | 40〜80Y | 5〜7Y |
上記の表は、番手別の飛距離とラン(転がる距離)の目安です。ヘッドスピードやバックスピン量・使うボールによっても大きく変わることがあります。
7番から8番と番手が小さくなるにつれロフト角は大きくなるため、ボールはより高く上がります。
それだけ飛距離は短くなり、ボールが地面に落ちてからのランも少なくなります。
ゴルフクラブの中でも、狙った場所へきっちり飛ばすために使うのがアイアンです。ドライバーショット以降で欠かせないのはもちろん、ショートホールでのティーショットなど、使用頻度がとても高いクラブです。それだけに、アイアン選びはスコ[…]
9番アイアンが「いらない」と言われるのはなぜ?
一部のゴルファーの間では、「9番アイアンはあまり必要ない」という考え方もあるようです。
9番アイアンは飛距離を求めるクラブではないため、前後の8番やPWで代用できるということが理由として考えられます。
最近ではロフトが立った「ストロングアイアン」が増えているので、PWやAWで以前の9番アイアンの距離を出せるようになりました。
そこで、9番を抜く代わりにウェッジを充実させ、グリーン周りでスコアアップにつなげようという考えになったのかもしれません。
しかし、9番アイアンはグリーンを正確にキャッチするには欠かせない存在で、コースでの使用率も高いです。
カラーや花道からのランニングアプローチなど、ショット以外の出番も多いクラブです。
明確な理由がないのであれば、9番アイアンはバッグに入れておいたほうがよいでしょう。
ショートアイアンの特徴
ショートアイアンは使用頻度が高いクラブで、次の3点が代表的な特徴です。
- 100〜150ヤードの飛距離を出せる
- ボールを高く上げて止めやすい
- 長さが短くて扱いやすい
それぞれ解説するので、練習やコースでのマネジメントに活かしてくださいね。
100〜150ヤードの飛距離を出せる
ショートアイアンで飛ばせる飛距離は、一般的な男性の場合で100〜150ヤード。
ゴルフでは、クラブごとに違う飛距離を階段状に並べて打ち分けることが上達への近道といわれています。
ビギナーからアベレージゴルファーにとって、飛距離を調整するのはクラブであって、プレーヤーの力加減ではないということです。
上級者なら150ヤード飛ばせるクラブで100ヤード前後を打つこともできますが、振り幅や力感を調整したショットは難易度が相当高くなります。
そこで出番になるのがショートアイアンです。フルスイングでの飛距離を安定させやすいため、「飛距離の階段」のうち低い部分をしっかり固めることができるでしょう。
ボールを高く上げて止めやすい
アイアンは番手が下がるほどロフト角が大きくなるため、ボールを高く上げることができます。
ボールが落ちてから転がる距離(ラン)は少なく、グリーンに直接ボールを落とせば止めやすいのが特徴です。
ランはクラブが長くなるほど伸び、ドライバーやフェアウェイウッドでは20〜30ヤード出る場合もあります。
5番アイアンや6番アイアンで打っても10ヤード以上転がることもあり、グリーンをとらえたボールがこぼれてしまうことも少なくありません。
直接グリーンを狙う場合や、次のショットの飛距離を調整するため「レイアップ」する際は、弾道が高くランが短いショートアイアンを使えればベストというわけです。
長さが短くて扱いやすい
ショートアイアンはシャフトが短いので振りやすく、ボールに当てやすいのが大きな特徴です。
体の回転とクラブが同調したスイングをイメージしやすいのもメリットです。
ミドルアイアンだと思い切って振れない方でも、ボールとの距離が近いショートアイアンなら、安心感と自信を持ってスイングに臨むことができるでしょう。
ミスに強いことも大きなポイントで、芯から少し外れた場合でもボールをしっかり上げてくれます。
また、ショートアイアンは扱いやすいことから、微妙なフィーリングが求められるアプローチに使われることも多いでしょう。
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ショートアイアンの打ち方とコツ
ショートアイアンがうまく打てずに悩んでいる方は、アドレスやボールの位置など、スイング以外の部分について再確認してみましょう。
ショートアイアンを安定させるためにチェックしておきたいポイントは以下の3つです。
- ボールは体の中心に置く
- ややオープンスタンスに構える
- コンパクトなスイングを心がける
今まであまり意識していなかったポイントがあれば、練習の際に実践してみましょう。
ボールは体の中心に置く
ショートアイアンは、両足の真ん中にボールを置いて構えましょう。
「ボールを置く位置は7番アイアンで真ん中、それより短いアイアンは少しずつ右寄りに」。このようにセットしている方は多いのではないでしょうか。
しかし近年では、「ショートアイアンは真ん中」という考え方も浸透しています。
右足寄りにボールを置いた場合、手元が詰まったスイングになりミスを誘発するケースがあります。
一方、左足寄りにボールを置くと、ボールをすくい上げるようなスイングになり、距離が落ちる可能性があります。
こうした特性も把握したうえで、自分にとって最適なボールの置き位置を探してみましょう。
ややオープンスタンスに構える
スクエアスタンスとは両足の位置をボールの進行方向と平行に揃えて構えることで、ゴルフスイングの基本です。
ただ、ショートアイアンがまっすぐ飛ばない場合は、左足を少しだけかかと方向に引いたオープンスタンスにすると打ちやすくなります。
ショートアイアンは短く扱いやすい一方で、ついつい「手打ち」になってしまいがちです。
体の回転を使わない手打ちでは、スイングの再現性が低くミート率も下がってしまいます。
手打ちを防ぐには、基本通りに体をしっかり回転させることが重要。ややオープンスタンスに構えることで、ダウンスイングで腰が回りやすくなります。
コンパクトなスイングを心がける
ショートアイアンで何より重要なのは正確なボールキャリーです。頑張って飛ばさなくてもよいので、マン振りする必要はありません。
そこで、スタンス幅を少し狭くして、8割程度のコンパクトなスイングを心がけましょう。
コンパクトといっても、力を抜いてスイングスピードを落とすということではありません。
スタンスを狭めた影響でトップの位置は低くなりますが、しっかり体を捻転させて下半身主導でスイングするのは同じです。
スタンス幅を狭くすると軸が安定しやすくなるため、ミート率アップにも期待できます。
ショートアイアンとミドルアイアンの打ち方の違いは?
ショートアイアンとミドルアイアンでは、打ち方に違いはあるのでしょうか。
大幅に変わることはありませんが、クラブの長さが異なるため、それに対応した構え方や打ち方になります。9番アイアンと7番アイアンを例に比較してみましょう。
9番アイアンの長さは36インチ前後で、7番アイアンになると37インチ前後が一般的です。
9番アイアンのほうが1インチ(約2.54cm)短くなるため、7番アイアンよりもボールに近づいて構える必要があります。
ボールとの距離が変わることで打ち方も多少変化して、9番アイアンでは縦振りに近いスイングになります。
アイアンとドライバーで比較すると分かりやすいですが、ドライバーはかなりの横振りになっています。
「クラブが長くなるほど横振り、短くなるほど縦振り」。スイングの際はこれを意識しておきましょう。
ショートアイアンが「苦手」「打てない」人に共通する理由は?
ドライバーやミドルアイアンは打てるのに、なぜかショートアイアンがうまく打てないという人も一定数はいます。
短くて扱いやすいショートアイアンは、初心者が最初に練習するクラブとしても使われます。本来は打ちやすいはずですが、どうして苦手になってしまうのでしょうか。
こうしたケースに当てはまる場合、飛ばそうという意識が強すぎることが考えられます。
ショートアイアンは縦振りに近くなるため、「クラブを上げて下ろす」のオートマチックなスイングを実践しやすいです。
ところが、飛ばしたい欲が出てしまうと手打ちになり、余分な力が入ることでトップやダフリといったミスを誘発している可能性もあります。
何度も説明していますが、ショートアイアンはあくまで正確性が第一。上半身が力んでしまう方は、意識を下半身に集中させてミート率を上げることを心がけましょう。
ショートアイアンでやりがちなミスの原因
ショートアイアンのように、短いクラブであるがゆえにミスを引き起こす場合もあります。
ショートアイアンでよくあるミスは、以下の3つです。
- 左に行くミス(引っ掛け)
- 右に出るミス(シャンク)
- トップ
グリーンの近くでこれらのミスが出ると、スコアに影響するのはもちろん、精神的なダメージも大きいです。それぞれの原因と対処法について解説しますので、再発防止に役立ててください。
左に行くミス(引っ掛け)
打球が左方向にまっすぐ飛び出してしまうミスが「引っ掛け」です。これは単純にインパクトでフェースが左を向いていることで起こります。
ゴルフスイングはクラブフェースの開閉と連動しています。短いクラブの場合、下りてくる際にフェースが正面を向くタイミングが早くなります。
また、ショートアイアンはインパクトでフェースが閉じる特性があるため、もともと引っ掛けが出やすくなっているのです。
ボールの置き位置が真ん中で引っ掛けが出てしまう場合は、やや右寄りにボールをセットしてみましょう。
フェースが左を向いてしまう前にインパクトすることで、引っ掛けを抑えられるかもしれません。
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右に出るミス(シャンク)
ショートアイアンで意外と多いミスが、クラブのネックに当たって右へ飛び出るシャンクです。
これは、打球の行方が気になって顔を上げるヘッドアップが原因の1つ。上体が起き上がることで前傾姿勢が崩れ、手でボールへ届かせようとすることでシャンクを引き起こします。
また、手元が体から離れていることもシャンクの原因です。ボールに当てようとする意識が強すぎると、右肩が前に出てネックに当たりやすくなります。
シャンクを防ぐには、インパクトまで上体が起きないように前傾姿勢を保つことが重要です。
さらに、スイングの際に手元がなるべく体の近くを通るように意識しましょう。
手元が体から離れないようにするには、ダウンスイングでクラブを引きつけるように下ろすのがコツです。
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トップ
トップはボールの頭を叩いてしまうミスです。ショートアイアンはクラブがボールを上げてくれるのですが、無意識にボールをすくい上げようとすることでトップが出やすくなります。
ショートアイアンでトップしやすい人は、ダウンスイングで右肩が下がっているケースが多いです。
改善法としては、両肩を地面に対して水平に回転させるように意識してみましょう。
ダウンスイングで右肩が下がらないよう、クラブを上から下へ振り下ろします。このときに重心を左足へしっかり移動させることも意識してください。
ロフト角が大きいクラブが勝手にボールを上げてくれると信じて、すくい打ちの意識を持たないようにしましょう。
ゴルフにおけるミスにはさまざまな種類がありますが、なかでもボールの上部を打ってしまう「トップ」に悩む人は多いのではないでしょうか。理想のスイングは、クラブを振り下ろしたときのエネルギーのすべてをボールにダイレクトに伝えて、高く遠くへ[…]
ショートアイアンの練習方法
ショートアイアンは扱いやすさが最大の武器である反面、手打ちになりやすいというデメリットも抱えています。
手打ちを撲滅するために効果的な練習が、体の回転を使ったコントロールショットです。
60ヤード・80ヤード・100ヤードなどの距離を設定し、バックスイングやフォローの大きさだけで飛距離を調整してください。手打ちではスイングが一定にならず、距離がバラついてしまいます。
注意したいのが、インパクトでのスイングの緩みです。距離が短くなると力の入れ具合で調整しがちですが、スイング全体で距離を出していくのがポイントです。
体の回転で打てるようになると、50ヤード以下のアプローチも格段に上達するでしょう。
特定の課題を解決するならゴルフスクールに相談するのが効率的◎
ショートアイアンはグリーンに絡むショットで使うため、スコアメイクのカギを握るクラブといってもよいでしょう。
ショートアイアンに限らず、特定のクラブやショットに悩みを抱えている場合、クラブごとにプロのレッスンを受けられるゴルフスクールがおすすめです。
グループレッスンでは、ショートアイアン限定でピンポイントのアドバイスを受けるのは難しいかもしれません。
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