パターは、スコアを左右するもっとも繊細なクラブです。しかし、「何インチを選べばいいの?」「ショップに並ぶのはほとんど同じ長さだけど、違いはあるの?」といった疑問を感じている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、自分に合ったパター選びのヒントをお伝えします。
これからパターを選ぶ方はもちろん、いまのパターに違和感を感じている方も、ぜひ参考にしてみてください。最適な1本に出会えれば、パッティングの安定感がぐっと増すはずです。
パターは形状や長さ、プレーヤーの特性に合わせて選ぶことが重要です。自分の身長やスイングのクセに合ったパターを選ぶことで、安定したパッティングと自信を手に入れられるでしょう。本記事では、パターの基本的な種類や特徴から初心者向け[…]

一般的なパターの長さは?
市販されているスタンダードなパターの長さは「33〜35インチ」が中心です。この範囲内であれば、ショップでも選びやすく、初心者から上級者まで幅広く対応できる設計になっています。
もっとも標準的とされている長さは「34インチ」といわれています。多くのゴルファーにとってバランスが良く、無理のないアドレス姿勢がとりやすいため、はじめてパターを買う方におすすめです。
しかし、身長やアドレス時の前傾姿勢、手の長さ、ストロークスタイルによって「最適な長さ」は変わるため、画一的に考えるのは避けたいところです。近年では33インチの短尺タイプを選ぶプロや上級者も増えており、あくまで目安にすぎないということも理解しておきましょう。
男女で選ばれる長さに違いはある?
一般的に、女性ゴルファーは男性に比べて身長や腕の長さがやや短めのため、パターの適正長さも短めになる傾向があります。市販されているレディースモデルでは、32〜33インチ前後が多く、女性専用としてラインナップされている製品も増えてきています。
ただし、女性だからといって必ずしも短いパターが合うとは限らず、ストロークスタイルや構え方によっては34インチ以上が適しているケースもあります。性別だけにとらわれず、自分の体格とスイング特性を基準にすることが大切です。
性別 | 主なパター長さの目安 | 備考 |
---|---|---|
男性 | 33〜35インチ | 標準は34インチ、長尺モデルは最大48インチほど |
女性 | 32〜34インチ | 標準は33インチ、体格や構えで調整が必要 |
男女共通 | 34インチ前後 | 初心者が最初に選びやすいスタンダード長さ |
パターの長さの測り方
パターの長さは、ゴルフクラブの中でも特にプレーヤーの構えやストロークに大きな影響を与える要素です。正確な測定方法を理解することで、自分に合ったパターを選びやすくなります。
パターの長さの測定方法
日本ゴルフ協会(JGA)の用具規則では、パターの長さは「グリップの先端(上端)から、クラブのソール(地面に接する部分)まで」を、シャフトの中心線に沿って測ると定められています。
具体的には、次のように測定します。
シャフトがまっすぐなタイプの場合
グリップの先端からシャフトの軸に沿って、そのままソールまでの距離を測ります。
シャフトにネック(曲がり)があるタイプの場合
ネックの曲がりは無視し、シャフトのまっすぐな部分をそのまま地面方向に延長した線を基準に、グリップの先端からソールまでを測定します。
つまり、クラブの見た目や構造に関係なく、「シャフトがまっすぐ伸びていたら」という仮想のラインを使って測るのがポイントです。これにより、パターの形状に関係なく公平な基準で長さを判断できるようになっています。
測定時の注意点
クラブヘッドの「ソールの位置」についてですが、一般的にはクラブを水平な場所に置き、ソール(底面)を地面から60度の面に当てて測定する「60度法」が用いられます。
この方法であれば、クラブの設計に関係なく一貫した基準で長さを測ることができます。
「グリップエンドの定義」については、グリップの一番上、つまりキャップの最上部から測定するのが基本です。この点を曖昧にしてしまうと、数ミリ単位で誤差が生じます。
引用元:日本ゴルフ用品協会(JGGA)「ゴルフクラブの『スペック測定』に関するガイドライン」に基づく表示に関して|ミズノ公式オンライン
また、メーカーによっては独自の測定基準を設けていることもあります。市販のパターの長さ表示が、必ずしもJGA(日本ゴルフ協会)やR&Aの公式ルールに基づいているとは限らないため、購入時にはそのブランドやモデルがどの測定法を基にしているかを確認しておくと安心です。
参考:用具規則|日本ゴルフ協会
パターの長さに関する規定・ルール
パターはゴルフクラブの中でも比較的自由度の高いクラブとされますが、公式競技で使用する場合には明確なルールや制限が定められています。
ここでは、日本ゴルフ協会(JGA)やR&Aが提示するクラブ長に関する規則をもとに、パターに関わる基本的なルールを整理して紹介します。
最小の長さと最大の長さについて
JGAおよびR&Aの用具規則において、ゴルフクラブ全般に共通する最小の長さは「18インチ(約45.7cm)」です。これはパターにも適用されており、これ未満の長さのクラブは競技で使用できません。
一方、パターには最大長さの制限は設けられていません。ほかのクラブ(ドライバーやアイアンなど)には48インチの上限がありますが、パターはその限りではなく、極端に長い「長尺パター(50インチ前後)」もルール上は使用可能です。
ルール違反となる例
パターの長さ自体がルール違反になるケースは少ないですが、使い方や改造の内容によっては違反と見なされることがあります。
たとえば、「アンカリング(体や腕にクラブを固定して打つ行為)」は禁止されています。これは特に長尺パター使用時に問題視されやすく、ストローク時にグリップエンドを体に押し当てるような打ち方は認められません。
また、クラブの構造に関しても、極端な形状や重りの追加が規則に反する場合があります。長さ以外の部分でも、ルール準拠かどうかを確認することが重要です。
使用クラブのルール適合確認のすすめ
競技に参加する場合は、使用するパターがルール適合モデルかどうかを事前に確認することが推奨されます。特にカスタムパターや海外モデルの場合、規則とのずれが生じることもあります。
JGAやR&Aの公式サイトでは、「適合クラブリスト」や「不適合クラブ一覧」が公開されているので、自分の使用クラブがそこに記載されていないかチェックすることで安心して競技に臨めるはずです。
ステップゴルフでは、1人ひとりの体格やスイングに合ったクラブの選び方をアドバイスいたします!
パターの長さを変えるメリット・デメリット
パターの長さを変えることで、ストロークの安定感や構えやすさが大きく変わることがあります。
ただし、長さの変更にはメリットだけでなく、一定のデメリットも伴います。この章では、長尺・短尺それぞれの特徴と、合っていない長さを使った場合のリスクについて解説します。
長尺パターに変えるメリット・デメリット
長尺パター(例:36インチ以上)にすることで得られる最大のメリットは、ストロークの安定性が向上することです。クラブの長さによって自然と直線的な動きがしやすくなり、手首の余計な動き(ブレ)を抑えたい人にとっては有効です。ショートパットでのミスが多い方は、長尺パターに変えることで改善できる場合があるでしょう。
また、長尺モデルは前傾姿勢が浅くなるため、腰や背中への負担が軽減されるというフィジカル面での利点もあります。
一方で、デメリットとしては、繊細な距離感を出しにくくなることや、クラブの取り回しが難しくなるといった点が挙げられます。慣れるまではタッチが合わず、パットがショートしやすくなることもあります。
短尺パターに変えるメリット・デメリット
短尺パター(例:33インチ以下)は、クラブが体に近づくため、繊細なタッチを出しやすいのが特徴です。特にフィーリング重視でストロークをしたい方や、繊細な距離感を武器にしたいゴルファーに向いています。
また、短尺にすると自然とアドレス時の前傾が深くなり、目線がボールの真上に近くなるため、ターゲットラインが見やすくなるというメリットもあります。
ただし、ストローク軌道が不安定になりがちな人にとっては、短すぎるパターはかえって難易度が上がる可能性もあるでしょう。
短尺パターは比較的上級者におすすめなモデルが多いため、ストロークの正確性と感覚に自信がある方におすすめです。
合っていない長さを使うリスク
自分に合っていない長さのパターを使っていると、フォームの崩れやストロークの再現性の低下といった問題が起こりやすくなります。
たとえば、パターが長すぎるとボールとの距離が遠くなり、腕を突っ張ったような窮屈な構えになりがちです。一方、短すぎるパターでは、前傾が深くなりすぎてバランスが悪くなり、安定したストロークができなくなることもあります。
パターの長さによる構え方や打ち方の違い
パターの長さが変わると、構え方やストロークの感覚も自然と変わってきます。同じように打っているつもりでも、クラブの長さによって体の角度や目線、更にはストロークの軌道にも影響が出ます。
具体的には、以下のような違いです。
パターの長さ | 構えの特徴 | ストロークの特徴 |
---|---|---|
長尺(36インチ以上) | 前傾が浅く、姿勢が安定しやすい | 肩を使った直線的なストロークがしやすい |
短尺(32〜33インチ) | 前傾が深く、目線がボールの真上に近い | 手元中心で細かな距離感が出しやすい |
標準(34インチ前後) | 無理のない自然な姿勢がとれる | 直線と円弧の中間の軌道をイメージしやすい |
それぞれについて、もう少し詳しく解説していきます。
長尺パターを使うときの構え方と打ち方の特徴
長尺パター(おおよそ36インチ以上)は、構えたときに体との距離が広がり、前傾姿勢が浅くなります。その結果、手元が高くなり、クラブを直線的に動かしやすいフォームになります。
このスタイルでは、手首の動きが抑えられ、腕や肩を使ってストロークする意識が強くなります。視線もやや高い位置からボールを見ることになるため、ラインを大きな視野で捉えられるのが特徴です。
このタイプは、体を大きく使うストロークに慣れている人や、一定のテンポで打ちたい人に向いています。
短尺パターを使うときの構え方と打ち方の特徴
短尺パター(32〜33インチ程度)は、構えると自然と前傾姿勢が深くなり、ボールとの距離が近くなります。目の位置がボールの真上になりやすく、ターゲットを直視しやすくなる点が特徴です。
また、体全体よりも手先の感覚を重視したストロークになり、繊細な距離感を出すのに適したスタイルといえます。
短尺パターは、フィーリングを大切にしたい方や、ショートパットの精度を上げたいゴルファーに向いています。ただし、前傾が深くなることで姿勢が崩れやすくなる場合もあるため、体幹の安定が求められます。
標準的な長さのパターを使うときの構え方と打ち方の特徴
標準的とされるパター(34インチ前後)は、体に無理のない姿勢で構えやすい長さです。前傾の角度や腕の位置も自然になり、ストロークの軌道も直線と円弧の中間をイメージしやすくなります。
構えのバランスがとりやすいため、ストロークの安定感や再現性を高めたい初心者〜中級者に特に適しています。
標準的な長さのパターは、ストロークのスタイルがまだ定まっていない人や、さまざまなシーンに対応したいゴルファーにおすすめです。
【参考】プロゴルファーのパターの長さ
パターの長さは、プロゴルファーにとってもプレーの精度を左右する重要な要素です。
日本を代表するトッププレーヤーの松山英樹選手は、34インチのパターをメインで使用しています。大会によっては若干長さを調整することもありますが、基本的には34インチを使用していると考えてよいでしょう。
また、スペイン出身のジョン・ラーム選手(身長188cm)は、37インチの長尺パター「オデッセイ Ai ONE ロッシーS」、アメリカのスコッティ・シェフラー選手(身長191cm)は、35.5インチのテーラーメイド「スパイダー ツアーX」パターを愛用しているようです。
一流選手が個性豊かなパターを使用している実例からも分かるとおり、パターの長さはプレースタイルや体格との相性が重要です。万人に共通する「正解」は存在しません。プロの選択を参考にしつつ、自分に合った1本を見つけましょう。
ステップゴルフなら、パターの長さなどクラブに関する知識習得もできる◎
パターの長さ選びは、意外と難しいものです。「身長に合わせればいいの?」「ショップでは細かいことが聞きにくい」そんな悩みを抱える方も少なくありません。
そこで、初心者の方にとって心強いのが、何度でも通えて、気軽に相談ができる環境です。
「ステップゴルフ」は、通い放題のゴルフスクールとして、スイングやルールだけでなく、クラブの知識や選び方も実践的に学べます。パターの長さひとつをとっても、構え方やストロークとあわせて確認しながら、スタッフに相談できる環境が整っています。
特にゴルフを始めたばかりの方にとって、「聞ける場所がある」という安心感はとても大きなメリットです。実際にクラブを握って試しながら理解を深めていけるので、道具選びにも自信が持てるようになります。
自己流で進めるよりも、早い段階で正しい知識を身につけることが、後々の上達スピードにもつながります。
パターのスキルや選び方も含めて効率よくゴルフを上達したい方は、ぜひ「ステップゴルフ」の無料体験レッスンを試してみてください。