「ドライバーの方向性が安定しない。」
そんな悩みを抱えるゴルファーにとって、「クラブを短く持つ」というシンプルな工夫がヒントになる場合があります。振りやすさやタイミングの改善につながる一方で、飛距離への影響など気になる点もあるでしょう。
本記事では、ドライバーを短く持つことのメリット・デメリットを整理しながら、実践に向けたポイントをわかりやすく解説していきます。スイング改善を目指す方はぜひ参考にしてください。

ドライバーを短く持つとどうなる?
ドライバーを短く持つと、クラブ全体の取り回しが変わり、スイングの感覚にも影響が出ます。構えたときの重心位置や振り幅が自然とコンパクトになるため、体のブレが抑えられ、スイング軌道が安定しやすくなるのが特徴です。
特に、タイミングのズレや振り遅れに悩んでいる人にとっては、打点のばらつきが改善しやすくなるケースもあるでしょう。
また、グリップ位置を短くすることでクラブのライ角(クラブと地面が作る角度)もわずかに変化し、フェースの向きや打ち出し角、スピン量に影響する場合があります。
振りやすさが増す一方で、飛距離が落ちたり、打感に違和感を覚えたりすることもあるため、効果とリスクの両面を把握しておかなければなりません。
ドライバーを短く持つ主なメリット・期待する効果
ドライバーを短く持つだけで、方向性やミート率を改善できる場合があります。
ここでは、ドライバーを短く持つ際の具体的なメリットを解説します。
振り遅れを防ぎやすくなる
クラブを短く持つと、スイングのタイミングが整いやすくなり、振り遅れしにくくなります。
ドライバーは長さがあるぶん、ヘッドが出てくるタイミングが遅れがちです。ドライバーで振り遅れるとフェースが開いたままインパクトしやすく、スライスや飛距離ロスの原因になります。
一方、ドライバーを短く持てばヘッドが手元の動きに素直についてくるようになり、タイミングを合わせやすくなります。特にスライスに悩んでいる方にとっては、シンプルながら試す価値のある方法です。
スイング軌道が安定しやすくなる
グリップを短くすることで、クラブを体に近い位置で振りやすくなり、スイングプレーン(スイングの軌道)が安定します。クラブが長いほど小さいズレが大きなミスにつながるため、短く握るだけで再現性が高まるでしょう。
スイング軌道が安定して再現性が高まれば、スコアの向上に直結するでしょう。
ミート率が向上しやすくなる
ドライバーを短く持つと、ヘッドコントロールがしやすくなり、ミート率が高まります。ミート率とはボールをいかに芯で捉えたかを示す指標で、高いほど効率の良いスイングといえます。
ミート率が上がると、飛距離の安定感も増し、スコアメイクにも良い影響が出てきます。「力で飛ばすよりも確実に当てたい」と、確実性を重視する方は、ぜひ試してみましょう。
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ドライバーを短く持つ主なデメリット
ドライバーを短く持つことで振りやすさや安定感が増す一方で、注意点もいくつかあります。
ここでは、ドライバーを短く持った際に考えられる主なデメリットを解説します。
飛距離が出にくくなる
ドライバーの長さを活かしたヘッドスピードが出せなくなる点は、短く持つ最大のデメリットです。クラブを短く握ると、スイングアークが小さくなり、遠心力が働きにくくなります。その結果、ヘッドスピードが落ちるためボールに伝わるエネルギーが弱まり、通常よりも飛距離が出ません。
要するに、ドライバーを短く持つと安定性が高まる代償として飛距離が犠牲になるのです。
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チーピンやひっかけが出るリスクがある
短く持つことで振りやすくなる反面、スイング軌道が急激に内側から入ってしまうと、チーピンや強いフックが出やすくなるケースがあります。特に、手先で打とうとするクセがある人や、極端なインサイドアウト軌道になっている人は要注意です。
フェースローテーションが大きいスイングの方は、短く持つことでタイミングがズレる恐れがあります。方向性を改善するつもりが、逆に不安定になってしまったという場合は、持ち方だけでなくスイングそのものを見直しましょう。
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持ち方だけではスイングの根本は変わらない
短く持てばミスが減ると聞いて試してみたものの、大きな変化がなかったという声も少なくありません。これは、クラブの握り方を変えるだけではスイングの根本的な課題にはアプローチできないためです。
例えば、体重移動やフェースの使い方、下半身のリードといった基本的な動作が不安定なままだと、グリップ位置を変えてもミスショットの頻度はあまり減りません。あくまで「短く持つ」は補助的な方法として捉え、スイング全体のバランスを見ながら取り入れていくことが現実的です。
実際にドライバーをどれくらい短く持つのが適切?
ここでは、「どれくらい短く持つべきか」について、実際のラウンドや練習で使える目安や調整方法を紹介します。
グリップエンドから1〜3センチ短く持つのが基本
ドライバーを短く持つ場合、グリップエンドから1〜3センチ程度短く持つのが一般的です。1~3センチ程度であれば、クラブのバランスが大きく変わりすぎず、ヘッドスピードの低下も最小限に抑えられます。
「飛距離よりも方向性を安定させたい」と感じている方は、まず2センチほど短く持って試してみると感覚をつかみやすいでしょう。いきなり極端に短くするとタイミングが合わなくなる場合もあるため、あくまで少しずつ調整するのがポイントです。
ミート率重視ならシャフトの模様やロゴを目安に
グリップ位置を調整するときは、シャフトに印刷されたロゴや模様を目安にするのもおすすめです。「ロゴに親指をかける」「グリップのカラー切り替え部分まで指をずらす」といった簡単な目印を決めておくと、再現性のある練習がしやすくなります。
特にミート率を上げたい人は、少しだけ短く持つ位置を決めておくと安定感が高まるでしょう。ティーショット前に慌てて構え直すことも減り、ルーティンとして定着させられます。
ドライバーを短く持つときの注意点
ドライバーを短く持つことでスイングが安定し、ミート率も上がりやすくなる一方で、取り入れ方を間違えると逆効果になることもあります。極端に持ち位置を変えると、タイミングがズレたり、フェースの向きが不安定になったりするため、調整は少しずつ行うのが基本です。
また、練習ではうまくいっても、ラウンド中は緊張で元の持ち方に戻ってしまう場合もあるため、事前にルーティンとして定着させておくと安心です。
さらに、グリップ位置を変えるとクラブの長さに実質的な違いが出るため、ルール面での確認も必要です。
補足:ドライバーを短く持つときに意識すべきルールはある?
クラブを短く持つこと自体は、ゴルフ規則上は問題ありません。ただし、シャフトを物理的に切断して短くした場合、クラブが「不適合」になる可能性もあるため注意が必要です。
また、グリップの末端からクラブ全体の長さが変化するため、プレー中に持ち方を頻繁に変えるとスイングリズムが崩れやすくなります。試合などで一定の精度を求められる場面では、持ち方を固定しておくほうが安定性につながります。
ルールの範囲内で、自分に合った持ち方を見つけましょう。
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ドライバーを短く持つプロゴルファーはいる?
ドライバーを短く持つスタイルは、プロゴルファーの間でも採用されています。
国内外で数々のトーナメントで活躍している今平周吾選手は、ドライバーショットでもグリップエンドから指2〜3本分余らせて握ることで知られています。これこそがショットメーカーである今平選手の安定したショットにつながっています。
ヨーロピアンツアーで7回の優勝を誇り、 2024年パリオリンピックではイギリス代表として銀メダルを獲得したトミー・フリートウッド選手も、ジュニア時代からクラブを短く握ることを習慣としており、現在でもそのスタイルを維持しています。
このように、ドライバーを短く持つスタイルは、プロゴルファーの間でも効果的な手法として取り入れられています。アマチュアゴルファーにとっても、スイングの安定性やミート率の向上を目指す際に、試してみる価値のある方法といえるでしょう。
ドライバーを短く持つ練習方法
ドライバーを短く持つことの効果を本番で発揮するには、日々の練習で感覚を定着させておく必要があります。
ここでは、ドライバーを短く持った状態でスイングを安定させるための具体的な練習法を紹介します。
グリップ位置固定ドリル
- グリップにテープやマーカーで短く持つ位置(エンドから2cmほど)に印をつける
- マークした位置で毎回同じように握る
- 普段どおりに素振り、またはボールを打つ
この練習では「毎回同じ位置で握る」ことがポイントです。短く持つことで感覚が変わりやすいため、一定のグリップ位置を体に覚えさせることが大切です。
ルーティン化することで、ラウンド中でも迷わず構えられるようになります。
片手素振り
- ドライバーを短く持ち、右手のみで軽くグリップ
- 左手を体の前に添え、右手一本でゆっくり素振り
- 腕だけで振らず、体全体を使ってスイング
片手スイングは、手先に頼らず体幹を使った振り方を習得するのに効果的です。短く持つことでクラブが振りやすくなり、軌道が安定しやすくなります。右手だけでコントロールできる範囲を知ることは、インパクトの再現性向上にもつながるでしょう。
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ティー位置連続チェックドリル
- 通常のティーアップよりやや低めにティーをセット
- 短く持った状態で10球程度連続して打つ
- インパクトの感触や飛び方を記録しながら調整
ティーの高さとスイングのバランスを取る練習です。短く持つとヘッドが低く入りやすいため、打点がズレやすくなります。
このドリルでは「どの高さなら芯に当たりやすいか」を体で覚えることができます。実戦でもティーの高さ調整がしやすくなり、安定感が増すでしょう。
【FAQ】ドライバーを短く持つことに関するよくある質問
最後にドライバーを短く持つことに関連するよくある質問に回答していきます。
ドライバーを短く持つときのボールの位置は?
短く持つからといって、ボールの位置を大きく変える必要はありません。基本的には、左足かかとの延長線上にボールを置く通常の位置が目安です。構えたときにボールとの距離がやや近くなるため、スタンス幅や前傾姿勢でバランスを調整すると安定するでしょう。
一方、ボールの位置を右に寄せすぎてしまうと、ダウンブローになりやすく、ドライバー本来の高弾道が出にくくなる可能性があります。さらに、ボールが高く上がりすぎる「テンプラ」のミスも出やすくなります。あくまで構えは従来どおりに保ち、グリップ位置の調整だけで変化を感じ取ることが基本です。
ドライバーを短く持つのと、シャフトカットとの違いは?
グリップを短く持つのと、シャフトを物理的にカットして短くするのとでは、クラブのバランスや特性に明確な違いがあります。短く持つだけであれば、元のクラブスペックはそのままなので、いつでも元に戻せますが、シャフトをカットするとクラブの長さ・バランス・しなりが変化し、元に戻すことはできません。
特にヘッドが軽く感じやすくなるため、振り心地が大きく変わる場合があります。まずは短く握って試し、どうしても感覚が合わない場合にカットを検討するのがよいでしょう。
長尺ドライバーを短く持つ場合の効果は?
もともと長めに設計されている長尺ドライバーを短く持つことで、安定性を引き出す調整が可能です。
長尺モデルはヘッドスピードを上げやすい反面、スイングが乱れやすく、ミート率が落ちることもあります。
そこで意図的に短く握ることで、扱いやすさを高め、方向性やタイミングを整えやすくなります。飛距離をある程度キープしながら、曲がり幅を抑えたい場面では、特に効果的です。
ただし、クラブ設計上の意図を外れることにもなるため、打感やスピン量に違和感を覚えるケースも少なくありません。長尺クラブを検討中の方は、試打を重ねながら判断しましょう。
ドライバーの長短など、ショットに関する技術相談はステップゴルフまで
ドライバーを短く持つべきかどうかは、スイングタイプやミスの傾向によって変わるため、自己判断だけでは迷ってしまうこともあります。「飛ばしたいけど曲げたくない」「安定感を出したい」など、悩みの方向性によって最適な選択肢は異なってくるでしょう。
ドライバーの握り方や長短で迷っている方は、指導経験豊富なコーチに相談するのがおすすめです。
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