アプローチでピンに寄せて、次のパットを1打で決める「寄せワン」。パーオンできなかったホールでもスコアをまとめる大きなチャンスになるため、安定してスコアアップを狙うには欠かせないテクニックです。
この記事では、寄せワンの基本的な考え方や成功率を上げる練習法、状況別の打ち方やクラブ選びのポイントまでをわかりやすく解説していきます。

ゴルフ用語「寄せワン」とは?
まずは、アマチュアからプロまで重視される寄せワンについて解説します。
寄せワンの定義・使い方・例文
寄せワンとは、グリーン周りから打ったアプローチショットでボールをカップの近くに寄せ、その次のパットを1打で決めてホールアウトすることを指します。
たとえパーオンできなかったホールでも、パーやボギーで収められるチャンスが生まれるため、スコアアップを目指すうえで大切なテクニックです。
たとえば、「このホールは寄せワンでパーが取れた」といった使い方をします。プロもアマチュアも意識しているプレーであり、アプローチとパットの精度を高めることが寄せワンを成功させるカギです。
寄せワンを安定して決められるようになれば、ラウンド全体のスコアも大きく変わってきます。ショートゲームの腕を磨くうえで、まず目指したいプレーの1つといえるでしょう。
寄せワンの確率
「寄せワン」の実際の成功率は距離によって大きく変わります。
PGAツアーの統計によると、プロ選手でも成功率は10ヤード以内で約85%、20〜30ヤードで約52%、30ヤード以上になると28%程度まで低下。つまり、距離が長くなるほど、寄せワンは難しくなる傾向があります。
アマチュアゴルファーの場合、30ヤード以上からの寄せワン成功はかなり難易度が高くなりますが、達成できればスコアを大きく縮められるでしょう。
寄せワンに似ているゴルフ用語
寄せワンに近い意味をもつ用語には、「寄せツー」や「砂イチ」などがあります。
寄せツーは、アプローチでグリーンに寄せた後、2パットでホールアウトするプレーのこと。1パットの寄せワンほどではありませんが、安定してスコアをまとめるうえでは重要な技術です。
バンカーから1打で出して1パットでカップインする「砂イチ」も、広い意味では寄せワンの一種といえます。バンカーショットとパットの精度が求められる点も共通しています。
また、「パーオン」は規定打数の2打前にグリーンオンすることを指し、寄せワンとは異なるスタイルのプレーを意味する用語です。
英語では寄せワンは「up-and-down」と呼ばれ、PGAツアーでは「scrambling(スクランブリング)」として記録されます。
寄せワンの取り方・コツ
寄せワンを成功させるには、単にピンに寄せるだけでなくグリーンの傾斜や芝の状態、使用クラブの特性までを踏まえた戦略が必要です。
ここでは、寄せワンの確率を高めるための考え方や実践的なテクニックを詳しく解説していきます。
狙った距離に止める感覚を身につける
寄せワンを決めるためには、アプローチショットでボールを狙った位置に止める距離感が重要です。特にピッチエンドランのような打ち方では、キャリーとランのバランスがポイントになります。
たとえば、AW(アプローチウェッジ)はキャリーとランの比率がおおよそ1:1、PW(ピッチングウェッジ)なら1:1.5といったように、使うクラブによって転がり方が変わります。
各クラブの特性を理解しておくと、どこにボールを落とせばピンに寄るか、イメージしやすくなるでしょう。
ラインを読む力とグリーンの傾斜を把握する
寄せワンを決めるには、グリーンの傾きや芝目を読み取る力も大切です。
まず、アプローチ前にグリーン全体の高低差や傾斜の向きをチェックしましょう。ボールがどこに落ちて、どのように転がるかをしっかりイメージできると、落としどころや打ち出し方向が明確になります。
特にピッチエンドランのようにボールを転がすショットでは、ボールが落ちてからどの方向へどれだけ曲がるかを予測することが重要。傾斜が強い場所や横から攻めるラインでは、カップを直接狙うよりも、安全な位置に止めて1パット圏内に寄せる考え方が効果的です。
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「落としどころ」を具体的に決めて狙う
寄せワンを成功させるには、「ボールをどこに落とすか」をはっきり決めておくことが大切です。
初心者の場合、カップを直接狙ってアプローチしがちですが、これだとボールが落下してから思わぬ方向へ転がってしまいます。ピンの位置やグリーンの傾斜、芝の硬さなどをよく観察し、「ここに落とせば、ちょうどカップ近くまで転がる」というポイントをイメージしてから構えましょう。
特に、ピッチエンドランのように転がしを使う場面では、キャリーとランのバランスを考えながら落としどころを決めるのがポイントです。クラブのロフトや、ボールのある場所の状況に合わせて落とす位置を調整できるようになると、より正確なアプローチができるようになります。
アプローチの基本的な考え方もおさらい
寄せワンを成功させるには、まずアプローチショットの「基本」を押さえることが欠かせません。ここでは、アプローチの基礎的な考え方を改めて整理して解説します。
まずは「グリーンを狙う目標」を具体的に設定しよう
ただピンに向かって打つのではなく、「どこに落とせば寄りやすいか」「パットしやすい位置はどこか」といった視点で、狙う場所を具体的に決めておくことが大切です。
たとえば、グリーンが手前から奥に傾いているなら、ピン手前の上り傾斜を狙えばボールが止まりやすくなります。逆に手前にバンカーがある場合は、やや奥から攻めることでリスクを抑えられることもあります。
また、難しいパットを残さないことも重要です。下りや左右の傾斜が強い場所からのパッティングは難易度が高く、外した場合に長いパットが残りやすくなります。
そのため、なるべく上り傾斜のまっすぐなラインでパットできる場所を狙い、そこにボールを止めるイメージをもつと寄せワンの成功率を上げられるでしょう。
もし狙いどおりに打てなかったとしても、「次にどこからなら打ちやすいか」を考えておくと、無理のないマネジメントができて、スコアの乱れを防ぎやすくなります。
距離とライに合わせて最適な打ち方を判断する
アプローチでは、ボールまでの距離や地面の状態(ライ)によって、打ち方や使うクラブを変えるのが基本です。
たとえば、フェアウェイではピッチングウェッジやアプローチウェッジを使い、スピンをかけて狙った場所に止めるショットが効果的です。逆に、ラフでは芝の抵抗があるため、サンドウェッジでしっかりボールを浮かせるイメージが合います。
傾斜地ではスタンスにも工夫が必要です。左足下がりなら重心をやや左に、右足下がりならボール位置を少し右にずらすと打ちやすくなります。
また、芝が薄くなって地面が露出しているベアグラウンドは、トップやダフリが出やすい場所です。
このような状況では、バンス角(ソール部の出っぱり)が大きいサンドウェッジでボールを上げようとするのは危険。ピッチングウェッジや9番アイアンなどで転がすイメージを持ち、リスクを避けることが大切です。
ミスを最小限に抑える「安全な攻め方」を意識する
アプローチでは、毎回ピンを狙うのではなく、ミスしてもリカバリーしやすい安全なエリアにボールを運ぶ考え方が大切です。
たとえば、ピンの奥にバンカーや下り傾斜があると、わずかなミスで大トラブルにつながることもあります。そういう場面では、ピン手前や横など、安全に止まりやすい場所を狙うのが得策です。
特に、ピンの位置がグリーン端にある場合は要注意。寄せワンを狙いすぎた結果グリーンを外してしまうと、かえってスコアを崩すことも少なくありません。
「次の1打が打ちやすいかどうか」を意識して狙いを定めるだけで、大叩きを防ぎやすくなりスコアも安定します。
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寄せワンを狙うためのクラブの選び方
ここでは、寄せワンを狙うためのクラブの選び方について詳しく解説します。
距離とライに応じてPW・AW・SWを使い分ける
アプローチでは、距離や地面の状態に合わせてPW・AW・SWを使い分けることが重要です。
30〜50ヤードの中距離なら、キャリーとランの比率が1:1.5になりやすいPWが適しています。キャリーとランをバランス良く打ちたい場面では、扱いやすいAWが便利です。ピンが近いときやラフからのショットでは、球が高く上がって止まりやすいSWを使うと寄せやすくなります。
転がして寄せたいときはチッパーや7番アイアン
転がしを重視する場面では、チッパーや7番アイアンが役立ちます。ロフトが立っているためボールが低く出て、花道のような平らな場所ではカップに寄せるイメージがしやすいでしょう。
スイングはパターに近く、構えもシンプルなので、初心者でも打ちやすくミスが少ないのが特徴です。ただし、転がる距離は芝や傾斜に左右されるため、練習を通じて距離感を身につける必要があります。
ロフト角とバンス角で弾道とスピンをコントロールする
寄せワンの精度を上げるには、クラブの「ロフト角」と「バンス角」の違いを理解しておくことが大切です。
ロフト角はフェースの傾きで、弾道やスピンに影響します。SWやロブウェッジのようにロフト角が大きいクラブは、ボールが高く上がってスピンもかかりやすく、ピンが近い場面で有効です。逆に、ロフト角が小さいクラブは低く出てよく転がるため、ランニングアプローチに適しています。
バンス角はクラブの底面(ソール)のふくらみを表す角度で、地面への刺さりにくさに関係します。バンス角が大きいと芝やバンカーでも抜けが良く、ミスに強いのが特長。小さいと地面に刺さりやすくなりますが、硬い地面や薄芝では繊細なショットがしやすくなります。
弾道の高さやスピン量・ライの状態を考慮してクラブを選ぶことが重要です。
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寄せワンを増やすための練習方法
寄せワンの成功率を上げるには、狙った距離に正確に止める技術と、状況に応じた判断力が求められます。やみくもに打つのではなく、目的をもって練習しましょう。
ここでは、アプローチの精度を高めるためにおすすめの練習ドリルを3つ紹介します。
キャリーコントロールドリル
寄せワンを成功させるには、狙った距離にキャリーさせる感覚を身につけることが大切です。このドリルでは、10ヤードからスタートし、1ヤードずつ距離を伸ばしていくことでアプローチの距離感を養います。
- 10ヤードのキャリーを基準にする
- 足踏みの感覚で振り幅をつくる
- 1ヤードずつ段階的に距離を伸ばす
- テンポとリズムを一定に保つ
- 反復して距離感を体に覚えさせる
ポイントは振り幅で距離を調整することです。手や腕の力でコントロールしようとすると距離感を掴みづらくなり、スイングリズムも崩れるので注意しましょう。
落としどころを決めて打つアプローチ練習
この練習では「どこに落とすか」を明確にし、状況に応じたアプローチ力を養います。
- 実際のコースを想定して状況を設定する
- ピン位置と傾斜を確認し、狙う落としどころを決める
- 使用クラブとキャリー距離を逆算する
- 狙いの落としどころに目印を置いてショットを打つ
- ボールの転がりを確認し、必要に応じて調整する
落としどころを明確に意識して打つ練習を繰り返すことで、「狙った地点に正確にキャリーさせる感覚」と「傾斜や転がりを読む判断力」の両方が磨かれていきます。
1球勝負チャレンジ
アプローチの実戦力を高めるには、本番と同じ緊張感での練習が効果的です。この「1球勝負チャレンジ」では、1打ごとの集中力と判断力を養うことができます。
- 1球のみで結果を評価するルールを設ける
- ホールごとに異なる状況を再現する
- 1球のみアプローチして、続けてパター練習を行う
毎回1球のみのプレーに限定することで、練習でも本番さながらの緊張感が生まれます。状況に応じた判断を素早く行い、プレッシャーに負けない精神力を鍛えるのにも効果的。寄せワン成功の再現性を高めたい方におすすめのドリルです。
初心者ほど、アプローチがうまくなるためには寄せワンにこだわらないことも重要
寄せワンを意識しすぎると、難しいピン位置や傾斜を無理に狙ってしまい、大きなミスを招くことがあります。特に初心者は「1パットで決めたい」という気持ちが強くなりすぎて、リスクの高い攻め方になりがちです。
まずは、グリーンにしっかり乗せて、2パットでも確実にスコアをまとめることを優先しましょう。たとえボギーやダブルボギーでも、大叩きを防げれば安定したラウンドにつながります。寄せワンは大切な技術ですが、それにとらわれすぎず状況に応じた安全第一の判断がスコアアップの近道です。
【FAQ】寄せワンなどアプローチに関するよくある質問
最後に寄せワンに関連する疑問をまとめて解決します。
初心者でも寄せワンは狙えるの?
ゴルフ初心者でも、寄せワンはじゅうぶん狙えます。大切なのは、いきなりピンを狙いにいくのではなく、まず「グリーンにしっかり乗せて、次のパットが打ちやすい位置に運ぶ」ことを意識することです。
無理に寄せようとしてミスするより、確実に2パット以内で終えられればOK。それを積み重ねていくことで、自然と寄せワンのチャンスが増えていきます。シンプルな考え方と丁寧なプレーが、寄せワン上達の近道です。
どの状況(ライ・傾斜)だと寄せワンは難しいの?
寄せワンが難しくなるのは「左足下がり」や「つま先下がり」といった傾斜がある場面です。構えにくく、スイングも不安定になりやすいため、ダフリやトップのミスが起こりやすくなります。
また、深いラフやディボット跡のような悪いライではクラブが芝に引っかかりやすく、狙った方向や距離を出しにくくなります。
こうした状況ではコンパクトなスイングを心がけ、状況に応じたクラブ選びを優先するのがおすすめ。無理に寄せワンを狙わず、まずはミスを防ぐ意識をもつことが、スコアを崩さないポイントです。
アプローチでパターを使うのはあり?
グリーン周りからの短いアプローチでは、パターを使うことで寄せワンの成功率を高められます。パターはダフリやトップといったミスが起こりにくく、傾斜に合わせて転がすことで、安全にカップに寄せられるのがメリットです。
プロのようにボールをフワッと上げてカップ付近で止めるショットには憧れますが、ミスしたときのリスクは大きくなります。寄せワンを狙うには確実にカップに近づけることが最優先。特に初心者の方は、ミスの出にくいパターの仕様がおすすめですよ。
アプローチの技術を磨くなら「ステップゴルフ」がおすすめ◎
寄せワンを安定して成功させるには、アプローチの精度だけでなく、グリーンの傾斜や芝の状態を読む力、クラブ選びの知識、実戦に即した練習が不可欠です。
とはいえ、これらを独学で習得するのは簡単ではありません。
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