ゴルフスイングでは、腕や脚だけでなく、全身の筋肉をバランス良く使う必要があります。その中でも、特にスイングの安定や再現性に大きく関わってくるのが背筋です。
背中を意識して体を動かせるようになると、スイング全体の感覚が変わってきます。
この記事では、ゴルフにおける背筋の役割や使い方、鍛え方までをわかりやすく紹介していきます。

ゴルフでは背筋が重要?
背筋は、ゴルフスイングの質を左右する大きな部位の1つです。見た目ではわかりにくい部分ですが、安定したスイングを支えるうえで欠かせない役割を果たしています。
この章では、背筋がどう関わっているのか、また筋力の有無によって何が変わるのかを見ていきましょう。
ゴルフスイングにおける背筋の役割
ゴルフスイングでは、腕や脚だけでなく、上半身をしっかりと回す動きが必要になります。その回転動作をスムーズにし、軸のブレを防ぐために働いているのが背中の筋肉です。
特に関わっているのは、広背筋や脊柱起立筋などの体幹まわりの筋肉です。これらは、上体のねじれや戻し動作を支えながら、インパクトの安定感にも関係しています。
背筋がうまく使えていないと、安定した再現性の高いスイングができません。
背筋(背中)で打つメリット
「背中で打つ」とは、背筋を主役にして体全体でスイングするイメージのことです。背中で打つ感覚が身につくと、手先だけでクラブを操作するような動きが減り、スイングに一体感が生まれます。
また、体重移動や下半身との連動もしやすくなるため、打点の安定や飛距離アップにも期待できます。
飛距離や再現性など、ゴルフスイングで大切な要素が向上するため、結果的にスコアの更新にもつながるでしょう。
背筋力も重要?
背筋を意識して使えることに加えて、筋力そのものが足りているかどうかも、スイングに影響します。特に、トップの位置からフィニッシュまでしっかり振り切るには、上半身を支える力が必要です。
もちろん、アスリートのような筋力は求められませんが、最低限の背筋力があるだけでスイングの安定感は変わってきます。筋力が不足していると、疲れてくる後半でフォームが崩れやすくなる方もいるでしょう。
また、背筋を活用する柔軟性もあると効率の良いスイングにつながります。筋力と柔軟性をバランス良くつけることで、スイングの精度が向上します。
ゴルフスイングでの背筋(広背筋)の使い方
背筋を鍛えることと同じくらい大切なのが、実際のスイングでどう使うかという点です。
ここでは、スイングの各段階で背筋をどのように働かせるかを具体的に見ていきましょう。
バックスイングでは背中を回す
バックスイングの基本は「背中を回す」ことです。腕だけでクラブを引き上げると、力みやすく、体の軸もぶれやすくなります。
正しい動き方としては、左肩をアゴの下に入れ込むようにしながら、背中全体を右にねじっていきます。このとき、右の広背筋が伸びる感覚があれば、上体をしっかり回せている証拠です。
逆に、右肩がすぐに上がってしまうような動きは、背中を使えていないサインです。
ダウンスイングでは右の背筋で引っ張る
バックスイングの回転がうまくできても、そこからの戻しがバラバラだと意味がありません。ダウンスイングでは、右の背筋を使ってクラブを引き下ろすイメージは、手打ちの防止にも効果的です。
右肩を突っ込むのではなく、右の背中から左足方向へ体を引っ張るように動かすことで、体の回転がスムーズになります。結果として、インパクトの安定感や再現性が高まるでしょう。
フィニッシュまで「背中で振り切る」意識を持つ
背筋を使ったスイングは、インパクトだけで終わりではありません。スイング全体を通して背中を中心に使い続けることで、最後まで振り切る動作が安定します。
特に意識したいのが、フィニッシュまで背筋を使ってクラブを運ぶ感覚です。このとき、左の広背筋に自然な収縮を感じられれば、体全体をうまく使ってスイングできている状態といえます。
ゴルフで背筋をうまく使うためのポイント・コツ
背筋をしっかり使えるようになるには、正しい動かし方だけでなく、構え方や体の使い方に対する意識も大切です。
ここでは、スイングで背中を意識的に活用するためのコツを紹介します。
アドレスの時点で背中を使える形を作る
背筋をうまく使うには、アドレス時点での準備が大切です。腰を反りすぎたり猫背になったりすると、背中の筋肉に力が入りづらくなってしまいます。
構えるときは、軽く胸を張りつつ、お腹を少しだけ丸めるように意識すると、自然と背筋にテンションがかかります。
背中からクラブを動かす意識を持つ
バックスイングで手先に頼ってしまう人は、クラブを「背中から動かす」イメージを持ってみましょう。具体的には、右の肩甲骨を少し引くように意識すると、自然と体の大きな筋肉が動き始めます。
このとき、「背中で上げる」という感覚があると、上半身のねじれが深まり、下半身との連動もスムーズになります。肩ではなく背中全体を動かす意識を持つだけで、スイング全体の安定感が高まるでしょう。
スイング中は背中の向きを意識する
スイング中の体の動きに迷いがある方は、「背中がどこを向いているか」に注目してみてください。たとえば、トップの位置で背中が目標方向を向いていれば、正しく体が回転している証拠です。
切り返しからインパクトにかけては、背中が正面に戻ってくる感覚をつかめると、体の開きが抑えられてミスショットも減ります。難しく考えるよりも、「今、自分の背中はどこを向いているか」を感じながらスイングすることが、ヒントになる場合もあるでしょう。
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ゴルフのための背筋の鍛え方・トレーニング
スイングの安定や再現性を高めるには、背筋の使い方と同時に、土台となる筋力も整えておきたいところです。
ここでは、ゴルフの動きに直結しやすい背筋トレーニングを3つ紹介します。特別な道具がなくてもできるメニューばかりなので、今日から取り入れてみてください。
バックエクステンション
脊柱起立筋など、姿勢を支える背中のインナーマッスルを鍛える基本のトレーニングです。
やり方
- 床にうつ伏せになり、両手を頭の後ろに軽く添える
- 息を吐きながら、上半身をゆっくり反らせて持ち上げる
- 背中に力を入れたまま、3秒キープ
- 息を吸いながら、ゆっくり元の姿勢に戻す
上半身を持ち上げる際は、反動を使わず、背中の筋肉だけで持ち上げる感覚を意識しましょう。1日10回を目安に取り組んでみてください。
ベントオーバーロウ
広背筋を中心に、背中の広い範囲を強化できるトレーニングです。ダンベルがなければペットボトルでも代用できます。
やり方
- 両手に重りを持ち、膝を軽く曲げて前傾姿勢をとる
- 背すじを伸ばし、胸を張ったまま構える
- ひじを後ろに引きながら、重りをゆっくり体の近くに引き寄せる
- 背中の筋肉を締めた状態で一瞬止め、元に戻す
腕で引くのではなく、背中の中央に力を集めるイメージを持つと効果が高まります。1日10~20回程度を目安に取り組んでみてください。広背筋への負荷が減ったと感じてきたら、重りの重量を上げると、継続的に高い効果を得られます。
チューブローイング
チューブを使うことで、実際のスイングに近い動きで背筋を鍛えられます。肩甲骨まわりの可動域を広げたい人にもおすすめです。
やり方
- チューブを柱などに固定し、両手でグリップ
- やや前傾姿勢をとり、アドレスのように構える
- 両ひじを後ろに引きながら、肩甲骨をギュッと寄せる
- 背中に負荷を感じながら、ゆっくり戻す
フィニッシュの形を意識すると、スイング中の体の使い方に近づきます。慣れてきたら片手ずつ行ってもよいでしょう。
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ゴルフで背筋(背中)が痛い場合について
スイング中に背中がピリッと痛んだり、ラウンド後に違和感が残ったりすることは、アマチュアゴルファーによくある悩みの1つです。
ここでは、背中に痛みが出る原因や考えられる症状、対処法について解説していきます。
背中が痛くなる原因
ゴルフでは回旋(体をひねる)動作が多く、背筋に継続的な負荷がかかります。特に、準備運動が不十分だったり、フォームにクセがある状態でプレーを続けていると、背筋全体に疲労がたまりやすくなります。
また、過度な練習や筋力不足も原因になり得ます。背中をうまく使えていない場合、肩や腰で代償動作が起き、結果的に背筋以外を痛める場合もあるでしょう。
右が痛い原因
右利きゴルファーの場合、スイングで右背筋が引っ張られる場面が多く、筋肉が過度に伸ばされることで痛みが出やすくなります。バックスイングで体を回しすぎたり、フィニッシュで右肩が大きく上がるクセがあると、右側に違和感が集中しがちです
左が痛い原因
スイングの終盤で体を回し切った際には、左側の背中に強い収縮がかかります。ダウンスイングからフィニッシュまで勢いで振り切ってしまうと、左の広背筋や肩甲骨まわりに張りが出る場合があるでしょう。
背中の痛みの正体は?
背中の痛みは、筋肉疲労による張りやコリのこともあれば、筋膜炎や軽い肉離れが起きている場合もあります。「重だるい」「ズキッとする」「動かすと痛い」など、背中の痛みの感じ方は1つではありません。
筋肉の炎症であれば数日で落ち着くことが多いですが、しびれをともなう痛みや、数週間続く違和感がある場合は、椎間板(ついかんばん)など背骨まわりの問題の可能性もあるため注意が必要です。
背中の痛みはスイングの改善やトレーニング、ストレッチで治る場合もありますが、根本的な治療が必要な場合もあるため、痛みが続く場合は病院に相談してください。
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痛みの治し方・ストレッチ
軽い痛みであれば、ストレッチやセルフケアで改善が期待できます。
以下はスイング前後におすすめのストレッチです。
<背筋のリリースストレッチ>
- 両手を前に伸ばして四つん這いになる
- お尻をかかとに近づけながら、背中を伸ばすように沈めていく
- 深呼吸しながら20秒キープし、ゆっくり戻す(3回繰り返す)
<肩甲骨ほぐし>
- 両腕を前に伸ばし、手のひらを合わせる
- そのまま背中を丸めて、肩甲骨を左右に広げる
- ゆっくり戻してリラックス(5〜10回)
ストレッチで強い痛みが出る場合や改善が見られない場合は、無理に自己判断せず整形外科などの専門医を受診してください。
無理なストレッチやトレーニングは、はかえって症状を悪化させるおそれがあります。早めに正しい対処を行い、長くゴルフを楽しめる体づくりを心がけましょう。
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【FAQ】ゴルフの背筋に関するFAQ
ここでは、ゴルファーがよく疑問に感じる「背筋」に関するポイントを2つ取り上げて解説します。
ゴルフスイングは背筋(せすじ)を伸ばす?
ゴルフスイングでは、アドレスの時点で背すじを伸ばすことが基本とされています。ただし、背筋をピンと張りすぎると、かえって体の動きが硬くなり、回転がしづらくなるケースもあります。
大切なのは、自然な姿勢で背中がほどよく伸びた状態を保つことです。お腹を少し丸めるように構えると、腰が反りすぎず、背中から下半身までスムーズに連動しやすくなります。アドレスの際は、少し腹筋に力を入れると正しいアドレスを作りやすくなります。
見た目は胸を張っている状態と似ていますが、実際には背中や体幹の使いやすさを重視した構えが理想です。
腹筋タイプと背筋タイプとは?
ゴルファーの体の使い方には「腹筋タイプ」と「背筋タイプ」があるといわれることがあります。これは、スイング中にどちらの筋肉を主に使っているか、という傾向を示すもので、どちらかが正しいわけではありません。
腹筋タイプは体幹を前側から支え、コンパクトで安定したスイングをつくるのが得意です。一方、背筋タイプは後ろ側から体を支え、ダイナミックな動きや飛距離につなげやすい傾向があります。
自分がどちらに近いかを知っておくことで、練習の方向性や意識の持ち方に活かすことができます。フォームに迷いがある方は、一度コーチに見てもらうのもよいでしょう。
ただし、腹筋タイプだからといって、背筋を使わなくていいというわけではありません。あくまでもどちらに重点を置くかの問題で、タイプを問わず腹筋・背筋の両方が大切です。
ゴルフのスイング解析はプロのコーチに1度見てもらうのがおすすめ◎
ゴルフは独学でも上達を目指せますが、スイングの感覚や体の使い方は文章や動画だけでは伝わりづらい部分も多くあります。独学で学び間違ったクセがついたまま練習を続けてしまうと、かえって遠回りになることもあるでしょう。
だからこそ、正しい理論を理解しているプロのコーチに一度スイングを見てもらうことが、上達の最短ルートです。
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