アプローチやバンカーショットで思ったように打てないと感じたことはありませんか?その原因は、ウェッジのバウンスにあるかもしれません。
バウンスとは、ソール(クラブの底部)の角度のことで、地面や砂との接地の仕方に大きく関わります。うまく使いこなせばミスを減らし安定したショットが打てるようになります。
この記事では、バウンスの基本や選び方について、初心者にもわかりやすく解説していきます。

ウェッジのバウンス(バンス)とは
ゴルフクラブの中でも、アプローチやバンカーショットなど繊細な場面で使うウェッジ。その性能を左右するのがバウンスです。
バウンスとは、クラブのソール部分が地面に当たる際の角度を指し、スイングの抜けやミスの出方に影響します。
なお、「バンス」と表記されることもありますが、本記事では「バウンス」に統一して解説します。
バウンス角とは
バウンス角とは、クラブのリーディングエッジ(刃先)とソールの後方部分との高低差を角度で示したものです。簡単にいうと、構えたときにソールがどれくらい地面から浮いているかを表します。この角度が大きいほど地面に刺さりにくくなり、逆に角度が小さいと芝の下に入り込みやすくなります。
クラブには「バウンス◯度」といった表記がありますが、この数値によってショット時の扱いやすさが変化します。
バウンスがアプローチショットに与える影響
ウェッジのバウンス角は、アプローチショットの抜けやミスの許容度に大きく影響します。
バウンス角が大きいと、地面に刺さりにくくなり、ダフリに強く安定したショットが打ちやすくなります。グリーン周りでのザックリや、バンカーでクラブが砂に刺さるのを軽減するのに効果的です。
一方、バウンス角が小さいと、ボールをクリーンに拾いやすくスピンをかけやすい反面、打ち込みすぎるとミスにつながることもあります。
自分のスイングや芝の状態に合ったバウンスを選ぶことで、アプローチの精度と安定感が向上します。
バウンス角・ロフト角・ソール角の違い
ゴルフクラブには似たような用語が多く、バウンス角と混同しやすいのがロフト角とソール角です。
ロフト角はフェース面の傾きで、ボールの打ち出し角度や高さを決める要素です。一方、ソール角はクラブを地面に置いたときのソールの形状や地面との角度のことで、ヘッドの抜けに関係します。
バウンス角はこのソール形状とフェース角度のバランスから決まるため、ほかの角度とセットで理解することが大切です。
ウェッジのハイバウンスとローバウンス
ウェッジは、バウンス角の大きさによって「ハイバウンス」と「ローバウンス」に分類されます。プレースタイルやコースコンディションによって、どちらが合うかが変わるため、それぞれの特徴を理解して選ぶことが大切です。
以下は、一般的なバウンス角の目安です。
バウンス角の目安
| 分類 | バウンス角の目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| ハイバウンス | 約12〜14度以上 | ダフリに強く、滑りやすい |
| ローバウンス | 約4〜8度 | クリーンに打ちやすく操作性◎ |
| 中間バウンス | 約8〜12度 | バランス型で対応範囲が広い |
それぞれの特徴と打ち方を見ていきましょう。
ハイバウンスの特徴
ハイバウンスのウェッジは、ソールが地面に強く当たりやすく、クラブが滑るように抜けていくのが特徴。ふかふかした芝やバンカーなど、クラブが沈み込みやすい状況でも安定したショットを打ちやすくなります。
ハイバウンスのメリット・デメリット
ハイバウンスのメリットは、多少スイングがズレてもバウンスが地面を受け止めてくれるため、ダフリに強い点です。柔らかい地面に対してヘッドが跳ねにくく、バンカーショットでも砂に刺さりにくいので安心感があります。
一方で、硬いライではバウンスが地面に弾かれ、トップしやすいのがデメリットです。フェースを開いて構える場面では、跳ねすぎて距離感が不安定になるケースもあります。
ハイバウンスウェッジの打ち方
構えはスクエアのままでもしっかりとバウンスが働くため、無理にフェースを開かず地面を滑らせるように振ると効果的です。特にラフやバンカーでは、クラブをやや打ち込むように使うことで、ヘッドが自然と跳ねてボールを拾いやすくなります。
また、インサイドアウトのクラブ軌道を意識するとより良いです。ヘッドが手前から入るため、ソールを滑らせたショットが打ちやすくなります。
ローバウンスの特徴
ローバウンスのウェッジはバウンス角が小さいためソールの接地面が少なく、芝の下に潜りやすい構造です。クリーンにボールだけを打ちたいときや、スピンを強めにかけたい場面で活躍します。
特にライが硬い場所やフェアウェイなど、地面に抵抗の少ない状況で力を発揮するのが特徴です。
ローバウンスのメリット・デメリット
ローバウンスのメリットとしては、フェースを開いた際の操作性が高く、多彩なアプローチショットが打てる点が挙げられます。また、スピン量を調整しやすく、球を止めたいときに重宝します。
一方で、バウンスが小さい分だけミスをカバーする余地は狭く、少し打ち込みすぎただけで地面に刺さり、大きく距離をロスすることがあります。スイング精度が求められる点がデメリットといえるでしょう。
ローバウンスウェッジの打ち方
繊細な打ち方が求められるローバウンスでは、フェースを少し開き、ボールの下にヘッドを滑り込ませるようなスイングが理想的です。
払うように振ることで刺さりすぎを防ぎ、柔らかくスピンの効いた球が打ちやすくなります。芝が薄いライや硬いグリーン周り・砂の硬いバンカーショットなどで特に効果を発揮します。
ノーバウンスのウェッジもある?
市販されているウェッジのほとんどには、バウンス角がある程度設けられていますが、中にはバウンス角がほとんどない、いわゆる「ノーバウンス」に近いモデルも存在します。これは極端に硬いライや、フェースを開いて繊細なタッチを求める上級者に向けた設計です。
ただし、ミスの許容度が極めて低く、一般的なアマチュアゴルファーには扱いづらい傾向があります。バウンスがない分、芝に刺さりやすく、インパクトのズレがそのまま結果に表れやすいため、初めのうちは適度なバウンス角を持つウェッジを使うほうが安心です。
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【ウェッジ別】バウンス角の目安・特徴
ウェッジには、ロフト角や用途に応じて複数の種類があります。それぞれのウェッジで、バウンス角にも傾向があり、目的や打ち方に適した設計がされています。
ここでは代表的な3種類のウェッジについて、バウンス角の目安や特徴を見ていきましょう。
ゴルフでスコアをまとめるには、ショートゲームの精度が大きなカギを握ります。なかでも重要なのが「ウェッジ」の使い分け。ただ、ピッチング、アプローチ、サンド、ロブと種類が多く、角度の違いによって飛距離や弾道がガラッと変わるため、何を使えばよいか[…]
ロブウェッジのバウンス角
ロブウェッジは、ロフト角が58〜60度ほどあり、高く柔らかい球を上げるためのクラブです。ロブウェッジのバウンス角は選択肢が広いのが特徴。一般的に4〜10度ほどとやや小さめに設計されることが多いですが、ミスを軽減しやすい12度以上のハイバウンスモデルも存在します。
ローバウンスタイプは、フェースを開いて細かいコントロールを必要とする場面で効果的です。こういった状況では、バウンスが大きすぎると逆に扱いづらくなります。
芝が薄い場所や硬いライでの繊細なアプローチに向いており、バウンスを抑えることでソールが邪魔をせず、ボールの下にクラブを滑り込ませやすくなります。ただし、バウンスが小さい分だけミスの許容範囲は狭く、スイング精度が求められます。
サンドウェッジのバウンス角
サンドウェッジはロフト角が54〜56度程度で、バンカーショットや30〜50ヤード前後のアプローチに使われるクラブです。バンカーの砂に刺さらず滑るように振り抜くため、バウンス角は10〜14度程度と比較的大きめに設計されています。
特に柔らかい砂や芝が深い場所では、バウンスの大きさがヘッドの抜けを助けてくれるため、ミスを減らすのに効果的です。また、ラフでも沈みすぎを防ぎ、安定したコンタクトを得やすくなります。
ただし、硬い地面や芝の薄いライではバウンスが跳ねてインパクトがズレることもあるため、使う状況には注意が必要です。
ピッチングウェッジのバウンス角
ピッチングウェッジは、ロフト角が44〜48度ほどで、アイアンに近い感覚で使えるクラブです。このタイプのバウンス角は、6〜10度程度と中間的で、バウンスが強く主張することはありません。
主にフルショットやランニング気味のアプローチで使用されるため、ボールをクリーンにとらえることが求められます。
バウンスは地面への刺さりすぎを防ぐ程度に設けられており、操作性と安定感のバランスが取れているのがメリットです。初心者にも扱いやすく、アイアンからの流れで自然に使える点も特徴です。
ウェッジのバウンス角の選び方
ウェッジのバウンス角は、単に「大きい・小さい」で選ぶのではなく、スイングのタイプやコースの状態、さらにはロフト角とのバランスまで含めて総合的に判断することが大切です。ここでは選び方の基本を4つの観点から解説します。
スイングタイプに合わせて選ぶ
適切なバウンス角を選ぶには、自分のスイング傾向との相性が重要になります。
ダウンブロー気味に鋭く打ち込むタイプは、ヘッドが地面に刺さりやすいため、バウンス角が12〜14度程度のハイバウンスがおすすめです。バウンスが地面を受け止めて、ヘッドの抜けを助けてくれます。
一方、払い打ちやレベルブローのスイングであれば、8〜10度の中間バウンスがバランス良く扱えるでしょう。すくい打ち気味の方や、ボールを高く上げたい人は、4〜8度のローバウンスがフェースの開閉をしやすくなります。
芝やバンカーの状況で選ぶ
コースのコンディションも重要な判断材料です。
硬く締まったバンカーや芝の薄いライでは、バウンスが大きすぎると地面に跳ねやすくなるため、バウンス角は6〜8度のローバウンス寄りが適しています。バウンスが地面に当たりにくくなるので、クリーンにヒットしやすくなります。
通常のバンカーや柔らかいラフでは、10〜14度程度のハイバウンスが効果的です。ソールが砂に弾かれにくくなり、ダフリのミスを防いでくれます。
芝やバンカーの状態はラウンドごとに変わるため、天候や季節も考慮しながら選ぶことがショットを安定させるポイントです。
ロフト角との組み合わせ・バランスで考える
バウンス角は、単体ではなくロフト角との組み合わせで考えると、ウェッジの使い分けがスムーズになります。
例えば、以下のような組み合わせが一般的です。
| クラブ種別 | ロフト角(目安) | バウンス角の目安 | 備考 |
|---|---|---|---|
| ピッチングウェッジ | 44〜48度 | 6〜10度 | アイアンとの流れで扱いやすい |
| サンドウェッジ | 54〜56度 | 10〜14度 | バンカー・ラフ向け |
| ロブウェッジ | 58〜60度 | 4〜10度 | フェースを開きやすい |
ロフトが大きくなるほどフェースを開く場面が多いため、バウンス角がやや抑えられている傾向があります。複数本のウェッジを使い分ける際は、バウンスの性質が被らないようにするのもひとつの工夫です。
参考:プロのバウンス選びについて
プロゴルファーは、自分のスイングや得意なショットに合わせてバウンス角を使い分けています。
例えば、スピン性能に定評のある堀越良和プロは、バウンス角が12度前後のハイバウンスウェッジを選択。構えたときにシャフトを垂直にし、ソール全体を地面に密着させることで、安定したスピンと正確なインパクトを引き出しています。
一方で、フェースの開閉による操作性を重視する海老原秀聡プロは、ローバウンス設計の「ボーケイSM10 Tグラインド」を使用。レベルブローで振るタイプのスイングに合わせて、抜けの良さとスピンの調整力を両立しています。
このように、プロたちも状況やスタイルに応じて最適なバウンス角を選んでいるのです。
初心者におすすめのウェッジのバウンス角は?
ゴルフ初心者には、バウンス角が10〜12度程度のウェッジがおすすめです。スイングの安定感がまだ十分でない段階では、ダフリなどのミスが出やすいため、バウンス角がある程度あることでクラブが地面に刺さりにくくなり、ヘッドが滑ってくれる効果が期待できます。
特にサンドウェッジでこのくらいのバウンス角を選ぶと、バンカーやラフでも安定したショットが打ちやすくなります。極端にバウンスが小さいウェッジは操作が難しいため、最初はミスをカバーしてくれる設計のものを選ぶと安心です。
【FAQ】ウェッジのバウンスに関するよくある質問
ここでは、ゴルフ初心者から上級者まで知っておきたいバウンス角に関するよくある質問をまとめて解説します。
ウェッジでフルショットする際はバウンスを考慮すべき?
フルショットを主体にウェッジを使う場合でも、バウンス角は無視できません。特に地面との接地面が大きくなるサンドウェッジでは、バウンスが大きいと芝の上を滑りすぎて、インパクトが安定しにくくなることがあります。
フルショットでは、ややバウンスが抑えられたモデルのほうが打ちやすいでしょう。ボールをクリーンにとらえやすく、アイアンの延長として使えるため距離感も合わせやすくなります。
ウェッジのバウンス角を揃えるとは?
「バウンス角を揃える」とは、複数本のウェッジのバウンス特性を統一している状態を指します。
ソールの滑らせ方に一貫性が生まれるメリットがある反面、状況に合わせた使い分けをしにくいのがデメリットです。
例えば、ロフトは違うのに全てのウェッジがハイバウンスだと、どの場面でも似た打感・球筋になり、アプローチのバリエーションが出しにくくなります。
さまざまなライや状況に対応するには、異なるバウンス角を持つウェッジを組み合わせることも重要です。
冬のバウンスの選び方は?
冬場は芝が枯れて地面が硬く締まりやすいため、バウンスが大きすぎるとヘッドが跳ね返されてミスの原因に……。そのため、通常よりややバウンスの少ないウェッジを選ぶことで、インパクトが安定しやすくなります。
とはいえ、極端なローバウンスはミスを拾いやすいため、8〜10度前後の中間バウンスが無難です。
クラブごとの打ち方やスイングのコツはゴルフスクールで学べる!
ウェッジのバウンス角を適切に選ぶには、スイングの特徴やクラブの構造を理解し、それぞれのショットに合った使い方を身につけることが大切です。
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