ドライバーやアイアンを選ぶとき、「重いシャフトのほうが安定する」と聞いたことはありませんか?
実際、重いシャフトはスイングを安定させたり、吹け上がりを抑えたりといった明確なメリットがあります。一方で、振り切るにはある程度の体力やスイングテンポが必要で、合わない人にとっては飛距離をロスする原因にもなりかねません。
この記事では、重いシャフトのメリット・デメリットから、向いている人の特徴、適正な重さやセッティング、練習方法までを詳しく解説します。

重いシャフトのメリット・デメリット
ドライバーやアイアンの性能を大きく左右する要素のひとつがシャフトの重さです。
「重いシャフト=上級者向け」という印象を持つ人も多いですが、実際にはメリット・デメリットの両方があり、自分のスイングタイプに合っているかどうかが何より重要です。
ここでは、重いシャフトを使うことで得られる効果と注意点を整理していきます。
重いシャフトのメリット
- スイングの安定感が増す
- インパクトでブレずに押し込める
- 弾道が低めに抑えられ、スピン過多を防げる
シャフトが重いクラブはスイング中にクラブ全体の重みを感じやすくなるため、手先での余計な操作が減り、スイング軌道が安定しやすくなります。その結果、タイミングが取りやすくなり、打点のバラつきが少ない再現性の高いスイングにつながります。
また、重さによってヘッドの動きがブレにくく、インパクト時にしっかりとボールを押し込む感覚が得られるのも特徴です。特にヘッドスピードが速いゴルファーほど、この「押し感」が強い打球につながりやすい傾向にあります。
さらにシャフトの重さが増すことで、ヘッドの過度な加速やスピンの増加を抑えられるため吹け上がりを防ぎ風に強いライナー性の強い弾道を打ちやすくなります。これはスピン量を適正化したい上級者やハードヒッターにとって大きなメリットといえます。
重いシャフトのデメリット
- 体力・筋力が必要になる
- 振り遅れやスライスが出やすくなる
- 弾道が低くなりすぎる場合がある
シャフトが重いクラブはスイング全体の負荷が増すため、体力や筋力が十分でないと振り切れず、長時間のラウンドでは疲労が蓄積しやすくなります。
また、トップからの切り返しでヘッドの戻りが遅れやすくなるため、インパクトが遅れて右に出るプッシュアウトやスライスが出やすくなる点にも注意が必要です。特にテンポがゆっくりなプレーヤーは重さに振り負けてリズムを崩すことがあります。
さらに、重いシャフトはスピン量が減りやすく、打球が強く前に出る反面キャリー不足に陥る場合もあります。特に冬場や湿ったフェアウェイではランが伸びにくく結果的に飛距離ロスにつながることもあります。
【参考】重いシャフトで起きやすいミスショット
- 切り返しでヘッドが遅れ、フェースが開いたまま当たる(右へのプッシュアウト)
- スピンが足りず、途中で落ちるような弾道になる(強いドロップボール)
- 疲労により手先で調整しようとしてフェースがかぶる(引っかけ・フック)
こうしたミスが頻発する場合は、シャフト重量やバランスが自分のスイングタイプに合っていないサインといえます。ヘッドスピードやテンポ、体力に合わせて適切な重さのシャフトを選ぶことで、安定した弾道を維持しやすくなります。
重いシャフトが合う人の特徴
重いシャフトは、誰にでも扱いやすいわけではありません。ヘッドスピードやスイングテンポ、弾道のタイプによって向き・不向きがはっきり分かれます。
ここでは、重いシャフトが特に効果を発揮するタイプを3つの視点から見ていきましょう。
ヘッドスピードが速く、力強いスイングをする人
ヘッドスピードが速いプレーヤーは、インパクトでボールに強い力を伝えられる反面、軽いシャフトだとヘッドが暴れやすく方向性が不安定になりがちです。
重いシャフトを使うことで、ヘッドの動きを抑えつつタイミングを取りやすくなり、強いインパクトと安定した弾道を両立できます。
目安としては、ドライバーのヘッドスピードが42m/s以上ある人です。振り遅れずにしっかり振り切れるなら、重いシャフトの安定感を活かせるタイプといえます。
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スイングテンポが速く、切り返しが強いタイプ
切り返しで勢いをつけるタイプや、テンポが速いスイングの人は、シャフトが軽すぎるとヘッドの動きが早まりすぎてフェースが開く傾向があります。
重いシャフトにすることで、ヘッドの動きが落ち着き、スイング全体のリズムとタイミングが安定します。
| スイングタイプ | 合いやすいシャフト調子 | 振り心地の傾向 |
|---|---|---|
| 切り返しが速い・タメが強い | 元調子(手元側がしなる) | 振り遅れ防止・安定感重視 |
| ゆったりテンポ・しなり感重視 | 先調子 or 中調子 | タイミング取りやすい・球を上げやすい |
トップで「間」を取らずに一気に振り下ろすタイプには、元調子系の重めシャフト(60〜70g台)が好相性でしょう。
球の吹け上がりを抑えてライナー性の弾道を打ちたい人
ドライバーで球が高く上がりすぎて「吹け上がる」「前に伸びない」という悩みがある人にも、重いシャフトは有効です。ヘッドのブレを抑え、スピン量を減らして低めの打ち出しにできるため、風に負けない強い弾道を打ちやすくなります。
特にフェード系の弾道でスピンが多い人ほど、重いシャフトに替えると弾道がまとまりやすくなります。
重いシャフトが合う人も知っておきたい「適正な重さ」
重いシャフトが合うタイプのゴルファーでも、「ただ重ければ良い」というわけではありません。
ここでは、重いシャフトを選ぶ際に押さえておきたい適正な重量の考え方を整理していきましょう。
「重ければ良い」とは限らない
重いシャフトは確かにスイングの安定感を高め軌道も乱れにくくなります。しかし一方で、振り遅れや疲労、ミート率の低下を招くリスクもあります。特に体力や柔軟性が不足しているゴルファーが無理に重いクラブを使うと、ラウンドの後半にスイングスピードが落ちやすく、飛距離のバラつきが大きくなることがあります。
また、シャフトだけでなくクラブ全体の総重量も大きく影響します。
例えば「重いシャフトにしたら、ヘッドも重くて扱いづらくなった」というケースでは、クラブ全体のバランスが適正に調整されていない可能性が高いです。
理想は、スイングテンポやフィーリングを崩さずにちょうど良く振り切れる重さを見つけること。フィッティング時には、単にシャフト重量だけでなく総重量(D0〜D3などのバランス)にも注目しましょう。
ドライバー・アイアンでの適正重量の違い
シャフトの「重い・軽い」は、クラブの種類によって意味合いが異なります。
ドライバーは長くてスイングの振り幅が大きいため、軽めのシャフトでスピードを重視するのが一般的です。一方でアイアンは正確なミートを求めるクラブなので、やや重めのシャフトを選んで安定性を重視する考え方が一般的です。
また、クラブが短くなるほどシャフトは重くなるのが自然なセッティングです。「ドライバーだけ極端に重い / 軽い」などのアンバランスは、スイングリズムを崩す原因になります。
【一覧】適正とされる範囲の目安
重さの感じ方には個人差があるので、「振り抜ける」「安定する」の両感覚を満たす範囲を目安に調整するとよいですが、参考までに適正重量を見極めるための目安の数値を以下にまとめました。
| ヘッドスピード | ドライバー | アイアン | 特徴・ポイント |
|---|---|---|---|
| 〜38m/s | 45〜55g | 80〜90g | 軽量モデル推奨。体力温存重視。 |
| 39〜42m/s | 55〜65g | 90〜100g | 標準的な重量帯で最も多いゾーン。 |
| 43〜46m/s | 65〜75g | 95〜110g | 重めの安定感を活かしやすい。 |
| 47m/s以上 | 75〜85g | 105〜120g | 上級者・競技志向向け。低スピンで強弾道。 |
ドライバーとアイアンの「重量差」はおおよそ30〜40gがバランス良い組み合わせとされます。これ以上差が大きいと、切り返しの感覚が変わりすぎてタイミングを崩す要因になるため注意が必要です。
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おすすめは?重いシャフトに合わせたセッティング
重いシャフトに替えると、クラブ全体のバランスが変化します。そのまま使うと「振り遅れる」「弾道が上がらない」といった違和感が出やすいため、トータルで最適化することが大切です。
ヘッド重量に関して
重いシャフトに交換した場合、クラブ全体の慣性モーメントが大きくなるため、そのままでは「振りづらい」「ヘッドが走らない」と感じることがあります。
このときに有効なのがヘッド重量の微調整です。
| 調整方向 | 方法 | 効果 |
|---|---|---|
| 軽くしたい | ソールのウェイトを軽量タイプに変更 (例:12g → 8g) | ・振り抜きやすくなる ・テンポ改善 |
| 重くしたい | ウェイトを重くする or 鉛をフェース寄りに貼る | ・スピン減少 ・打ち出し低下 ・強弾道化 |
目安として、シャフト重量を10g重くしたら、ヘッド重量を2〜3g軽くするとバランスが取りやすくなります。
また、クラブ全体のバランス(D0〜D3)を確認しながら調整することで、スイング時の自然な感覚を維持しやすくなります。
グリップの重さ・太さに関して
意外と見落とされがちなのが、グリップの重さと太さです。重いシャフトにすると、クラブの重心位置が手元寄りにずれることがあります。
これを補うためには、グリップ側でバランスを整えることが有効です。
| 調整要素 | 設定 | 主な効果 |
|---|---|---|
| グリップ重量 | 50〜60g(標準よりやや重め) | 手元バランスで振り遅れ防止 |
| グリップ太さ | やや太め(Midsize〜+2 Wrap) | 手首の余計な返しを抑えて安定化 |
グリップを少し太めにすると、手首の動きが穏やかになり、フェースの開閉が抑えられるため、重めのシャフトでもスイング軌道を安定させやすくなります。
ロフト・ライ角に関して
重いシャフトは弾道を抑える傾向があるため、ロフト角を0.5〜1°程度寝かせることで、理想的な高さに調整できます。
また、スイングテンポが変わることでライ角(フェースの傾き)にも影響が出るため、試打時に弾道を確認しながら微調整を行いましょう。
| 調整項目 | 方向 | 効果 |
|---|---|---|
| ロフト角 | 0.5〜1度アップ | 打ち出しを確保・キャリー維持 |
| ライ角 | ややアップライト | フェースが開きにくく方向性安定 |
特に、重いシャフトで弾道が低くなりすぎた場合は、「ロフトを少し寝かせる+ティー位置を高めに」のセットで高さを補うと効果的です。
重いシャフトが合う人におすすめの練習方法
ここでは、重いシャフトを最大限に活かすためのおすすめ練習を3つ紹介します。
練習1:ハーフスイングでリズムを整えるドリル
手順
- 通常のアドレスから、腰の高さ〜腰の高さまでのハーフスイングを行う
- フルスイングよりもリズム重視で、スピードを出さずにゆっくり振る
- 1球ごとに同じテンポ・同じ打点で打つことを意識する
- インパクト後、クラブを低く抜くようにフォローを取る
期待できる効果
ハーフスイングでシャフトの重さと慣性を感じながらリズムを整えることで、力みにくく再現性の高いスイングテンポを身につけることができます。
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練習2:切り返しで「間」を取るタイミング練習
手順
- トップまでゆっくりテークバックしたら、一呼吸おいてからダウンスイングに入る
- 「トップで静止」するような感覚で、上半身と下半身の連動を意識する
- ダウンスイングでは腕ではなく、下半身リードでクラブを下ろす
- 慣れてきたらメトロノームやカウントを使って「1・2・3(トップ)・4(インパクト)」のリズムを維持する
期待できる効果
トップで間を取ることで、ヘッドの遅れや振り遅れを防止でき、安定したインパクトタイミングを再現しやすくなります。
練習3:体幹主導でクラブを振る感覚を身につける練習
手順
- クラブを短く持ち、胸の前で水平に構える(クラブを横に持つ)
- 腕を動かさず、腰と肩の回転だけでクラブを左右に振る
- 体の軸がブレないように、背骨を中心に回転する意識を持つ
- 慣れてきたら実際のクラブで素振りし、腕に頼らず体幹で振る動作を再現する
期待できる効果
体幹を使ったスイング感覚を身につけることで、全身で効率よくクラブを振れるようになり、長時間のラウンドでも安定したスイングを維持しやすくなります。
【FAQ】重いシャフトに関するよくある質問
重いシャフトに関しては、ここまで説明した内容以外にもさまざまな疑問があるでしょう。ここでは、そんな疑問に回答していきます。
重いシャフトは使っているうちに慣れる?
多くの場合、数ラウンドこなせば次第に感覚がつかめてきます。ただし、振り遅れたり、ラウンド後に腕の疲労を強く感じるなら、シャフトの重量が自分にとって重すぎる可能性があります。違和感が続く場合は、ヘッドやグリップの重さを含めてバランス調整の見直しを行うのがおすすめです。
シャフトが軽すぎるとどうなる?
軽いシャフトは振り抜きやすい反面、ヘッドが走りすぎてタイミングを取りにくくなることがあります。その結果、スライスが出やすくなったり打点がバラついて、ミスショットが増えるケースも。
振りやすさを優先しすぎるとスイングが手先中身になりやすいため注意が必要です。
重いシャフトに替えると飛距離は伸びる?
必ずしも「重い=飛ぶ」というわけではありません。ただし、ヘッドスピードが速い人にとってはスピン量が抑えられてインパクト効率が上がり、結果的に強く伸びのある弾道を打てるようになる可能性があります。
一方で、スイングスピードが遅い人が使うと、振り切れずにかえって飛距離が落ちることもあるため注意しましょう。
セッティングの悩みも「ステップゴルフ」なら解決!
重いシャフトを使いこなすには、クラブの調整やスイングテンポの微妙な違いを理解することが大切です。
「弾道が低すぎる」「振り抜きにくい」「何をどう調整すればいいかわからない」
そんなセッティングの悩みも、ステップゴルフなら安心してご相談いただけます。
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