ゴルフのスイングでは「軸が大切」とよく言われますが、この軸は1つの意味だけを指すわけではありません。
多くの場合は背骨を中心とした回転の軸を意味しますが、体重移動に伴う軸足や、前傾姿勢を保つ姿勢の軸として語られることもあります。いずれにしても共通しているのは、軸を安定させることでスイング全体の再現性が高まり、ミスショットを減らせるという点です。
この記事では初心者が理解しやすい形で、軸の考え方や意識のポイントを解説します。

ゴルフの「軸」とは
まずは、ゴルフにおいて「軸」とは何を指すのか、おおまかな考え方から見ていきましょう。
ゴルフの軸は主に「回転軸」のこと
ゴルフで「軸」という言葉が出てきたとき、多くの場合はスイングにおける「回転軸」を意味します。回転軸とは、体をひねって回転する際の中心となるラインのことです。
もっとも一般的なイメージは、背骨をまっすぐに立て、そのラインを中心として体を左右に回すような感覚です。実際のスイングでは完全にその場で回るわけではありませんが、「体の軸を保ったまま回転する」という考え方が、安定したショットの基礎になります。
このように、ゴルフにおける軸はまず「背骨のラインを中心とした回転軸」として捉えておくと、スイングのイメージがつかみやすくなるでしょう。
軸はどこにある?
とはいえ、軸の位置については1つの正解があるわけではありません。背骨を基準にするのが基本とはいえ、理論によっては股関節や骨盤、首の付け根、腹筋を中心に考えるケースもあります。
また、バックスイングでは右足側に、ダウンスイングからフォローにかけては左足側に体重が乗ることから、「軸足」を意識する考え方もあります。
こうした多様な見方があるものの、いずれも共通しているのは「軸を安定させて余分なブレを抑える」という考え方です。どこを基準にすると感覚をつかみやすいかは、人によって少しずつ異なります。軸の考え方次第で目指すべきスイングも変わるため、自身に合う軸の捉え方を探すとよいでしょう。
軸の意識が重要な理由
軸を意識せずにスイングしてしまうと、体が上下左右に揺れやすくなり、スイングの再現性が落ちます。また、前傾姿勢を保つ軸が乱れるとトップやダフリの原因になり、体が流れれば方向性も安定しません。
一方で、軸を意識しながら体を回すことで、余計な動きを抑えつつ効率のよいスイングができます。結果として、安定したショットが打てるようになり、ミスの幅も自然と少なくなっていくでしょう。
ゴルフスイングで軸がブレる原因
ゴルフ初心者にとって、スイング中に軸が安定しないのはよくある悩みの1つです。
ここでは、軸がぶれてしまう主な原因を3つに分けて解説します。自分のスイングと照らし合わせながら確認してみましょう。
姿勢が崩れている
アドレス時の前傾姿勢が保てていないと、スイング中に上体が起き上がったり沈み込んだりして、軸が上下にブレます。特に初心者は、ボールに当てようという意識が強くなりすぎて、インパクトで体を起こしてしまうことが多く見られます。
また、バックスイングで体が起き上がると、ダウンスイングで沈み込まなければボールに届きません。結果的にダフリやトップのミスが頻発し、飛距離も安定しないでしょう。
軸を安定させるためには、前傾角度を最後までキープすることが大切です。
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体重移動が極端すぎる
正しい体重移動はスイングに必要ですが、左右の移動が大きすぎると軸が左右に流れてしまいます。バックスイングで右足に乗りすぎたり、ダウンスイングで左足に突っ込みすぎたりすると、回転の中心がズレてしまうでしょう。
体重を移すというより、軸を中心に「回る」意識を持つと安定しやすくなります。ゴルフスイングにおいて体重移動は大切な動作ですが、まずは軸がぶれないスイングを目指しましょう。
力みすぎている
強く振ろうとするあまり、腕や肩に余計な力が入ると、体全体が硬直しスムーズに回転できなくなります。その結果、軸がブレてインパクトが安定しません。スイング時はリラックスした状態で体を回すことが、軸の安定につながります。
特に振り急ぎがちなテイクバックや切り返しでは、力を抜いてリラックスする意識を強く持ちましょう。
【スイング動作別】ゴルフスイングの軸の意識・作り方
スイング中に軸を保つには、「体のどの動きでブレやすいか」「どの瞬間に意識すればよいか」を把握しておくことが大切です。
ここでは、アドレスからフォロースルーまでの各動作ごとに、軸を安定させるための意識のポイントを整理していきます。
アドレス
アドレスでは、背筋を伸ばしつつ自然な前傾姿勢を取りましょう。腰から上体を軽く折りたたむイメージで構えると、背骨が傾いた回転軸がつくれます。
この姿勢を崩さずに最後まで保つことが、スイング中の軸の安定につながります。
ただし、軸を意識しすぎると前傾しすぎて反り腰になりがちです。アドレスはあくまでも自然体を心掛け、力みが出ないように注意しましょう。
テイクバック
クラブを引くとき、腕だけで動かすのではなく体幹ごと回す意識を持ちましょう。背骨を中心に上半身をゆっくり右にねじるような感覚が理想です。
この段階で顔や頭が大きく動くと軸がブレやすくなるため、目線をボールに残したまま動くことを意識してください。
バックスイング
テイクバックからさらにクラブを上げていく動作でも、体の中心(背骨)を軸にして回るイメージを続けましょう。右足に体重は乗せつつも、上半身が右に流れすぎないよう注意が必要です。
右足の内側で支える感覚があると、軸の中心がぶれにくくなります。
バックスイングで軸が保てない場合は、早めに切り返すのも1つの手段です。バックスイングが小さくてもインパクトが安定すれば飛距離は出るため、自身の軸が保てる範囲に納めるとよいでしょう。
トップオブスイング・切り返し
トップでは、一瞬だけ体の動きが止まり切り返しに入ります。このとき、力んで上体が突っ込むと軸が左に倒れてしまうため注意が必要です。背骨が垂直から大きく傾かないよう、体のねじれを保ったまま自然に切り返すのがコツです。
ダウンスイング
左足に体重を移しながら回転を始めますが、このときも「回る」意識が大切です。左足に体重を移すより、乗せて回る感覚を持つと、軸がズレにくくなります。
腰から順に回転を始め、上体が突っ込まないように注意しましょう。左足内側に力を入れると、体が進行方向に突っ込みづらくなります。
インパクト
ボールに当てようと意識しすぎると、体が起き上がったり軸が前後にブレたりしやすくなります。アドレスでつくった前傾姿勢をそのままキープし、体の回転の中で自然にクラブが下りてくる感覚が理想です。目線を残す意識があると、体全体の安定にもつながります。
インパクトで軸がブレる場合は、それまでの動作に問題がある場合も少なくありません。正しい軸でインパクトができない場合は、スイング全体の動作を見直してみましょう。
フォロースルー
インパクトの後も、体を回し切るまで軸の意識を保ちましょう。フィニッシュでバランスが崩れる場合は、どこかの動作で軸が乱れていた可能性があります。
最後まで背骨を中心に体を回し左足でしっかり立てていれば、スイング全体が安定してきます。
ステップゴルフでは、未経験の方でも安心してコースデビューできるよう、わかりやすくティーチングしております。
ゴルフスイング中に軸がブレないコツ
ここでは、軸を安定させるために意識したいコツを3つに分けて紹介します。
上半身ではなく下半身を意識する
「体の軸=背骨」と捉えると、つい上半身だけに意識が集中しがちですが、実際には下半身が安定していなければ軸は保てません。特に足裏の重心バランスが崩れると、スイング中に体全体が揺れてしまいます。
アドレスからフィニッシュまで両足の裏でしっかり地面をとらえる感覚を持つことで、軸の土台が安定します。
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クラブを振るより「体を回す」意識を持つ
初心者ほど「クラブでボールを打つ」意識が強くなりやすく、その結果、手先で振ろうとして体の動きが止まり、軸のないスイングになります。
重要なのは、クラブを振るのではなく、体を回転させた結果としてクラブが振られるという感覚です。背骨を中心に肩と腰が同調して回るイメージを持つと、軸を保ちやすくなります。クラブのグリップエンドが常に自身のヘソを向いているイメージでスイングすると、体を回す感覚でスイングできるでしょう。
スイング中は「目線をぶらさない」
顔が大きく動くと、頭の重みで軸がズレやすくなります。ボールを見続ける意識を持つことは、単に当てやすくするためだけでなく、スイングの軸を安定させるうえでも有効です。
トップで視線が浮いたり、インパクトで頭が起きたり沈んだりしないように注意しましょう。目線が安定していれば、軸の感覚もつかみやすくなります。
ゴルフのスイング軸をキープする(ブレない)練習方法
軸を安定させるには、日頃のスイング練習の中で「ブレていない状態」を体に覚えさせることが大切です。
ここでは、初心者でも取り入れやすい練習法と役立つ器具を紹介します。
自宅でできる「壁ドリル」
狭いスペースでも実践できる、軸感覚を養うシンプルな練習です。
やり方は以下の手順で進めます。
- 壁の前に立ち、背中(肩甲骨のあたり)を軽く壁に触れさせて構える
- 壁から離れずに、テークバック~トップの動きをゆっくり行う
- 壁に背中を押しつけすぎたり、離れてしまったりしないか確認する
- 同様に、ダウンスイングからフォローまでの動きも試す
背骨を軸とした回転を意識しながら、背中の位置が壁からブレないように動くのがコツです。鏡の前でやると、より客観的に確認できます。
ティーを使った頭固定ドリル
スイング中の頭の動き=軸ブレにつながるポイントを簡単に確認できます。
やり方は以下の通りです。
- 地面にティーを1本刺し、ボールの代わりに目印として使用
- 通常どおりアドレスし、スイングをゆっくりと行う
- スイング中、自分の頭(特に目線や耳)がティーの位置から動いていないかを確認
頭を動かさないよう意識するだけで、軸の安定性がぐっと増します。動いてしまう場合は、力みすぎている証拠かもしれません。
軸のキープに役立つ練習器具
ゴルフでスイング軸をキープするためには、練習器具の活用も効果的です。ここでは、軸のキープに役立つ練習器具を2つ紹介します。
軸ブレチェッカー
軸ブレチェッカーは、スイング中の体や頭のブレを明確にする練習器具です。キャップやサンバイザーに取り付けると、先端に付いた3つのボールが垂れ下がり、動かないようにスイングすることで安定した軸を確認します。
軸がずれているかを確認できるボールが常に見えているため、初心者でも自身のスイングのブレをすぐに認識できます。アプローチからパターまで幅広いクラブで使用できるため、幅広い練習で活用できるでしょう。
スイングマジックグラス
スイングマジックグラスは、装着するとスイング中の軸ブレが確認できるサングラスです。レンズに細工されたサングラスで、スイング中に右目がずれるとボールが見えなくなります。ボールが見えない状態ではスイングができないため、常にバックスイングで軸がぶれない動きを矯正されます。
スイング中の体の開きや顔の動きで悩んでいる方は、スイングマジックグラスで悪い動きを矯正してみるとよいでしょう。
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【FAQ】ゴルフの軸に関するよくある質問
最後に軸や軸足に関する疑問に回答します。
アイアンとドライバーで軸の意識は異なる?
軸の考え方は基本的に同じですが、クラブの長さとボール位置の違いによって体の使い方が少し変わります。
ドライバーは最も長いクラブのため、比較的軸を起こした状態(前傾が浅い)でスイングします。一方でアイアンは短いため、前傾が深くなるクラブです。体の回転運動や基本的な考え方は同じですが、クラブの形状に合わせた軸でのスイングが必要です。
ゴルフの軸足はどっち?
スイングの過程によって軸足は変わります。
バックスイングでは右足(右打ちの場合)に重心が乗るため、右足を軸にした回転が基本です。そして切り返しからダウンスイングにかけては左足に体重を移し、最終的には左足を軸として振り抜いていきます。
常にどちらか一方の足で固定するわけではなく、体重移動に合わせて軸も自然に移るイメージを持つとよいでしょう。
右軸タイプと左軸タイプの特徴は?
プレーヤーによって「右軸寄りで打つ人」「左軸を意識して打つ人」がいます。それぞれの特徴は次の通りです。
| タイプ | 特徴 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 右軸タイプ | バックスイングで右足にしっかり乗る。ややタメが深くなりやすい | 飛距離を重視する人、柔軟性のある人 |
| 左軸タイプ | 左足に早めに軸を移し、回転中心をずらさない | コントロール重視、体重移動が苦手な人 |
一概にどちらが正しいとはいえず、自分の体格やスイングスタイルに合った軸の使い方を探すことが大切です。
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1軸スイングと2軸スイングの違いは?
1軸スイングとは、背骨を中心とした軸をできるだけ動かさず、その場で回転するような感覚で体を使うスイングです。体の軸が一定の場所に保たれるため、クラブの軌道が安定しやすく、スイングの再現性も高くなります。
一方、2軸スイングは、バックスイングでは右足側、ダウンスイングでは左足側へと軸や重心が移動するイメージのスイングです。体全体を大きく使うため、タイミングが合えば力強いインパクトを生みやすく、飛距離アップにつながる可能性もあります。ただし、体重移動のタイミングがずれると、ショットの安定性に影響が出る点がデメリットです。
どちらが正解というわけではなく、自分の体格や柔軟性、目指すスイングスタイルに合った軸の使い方を見つけることが大切です。
シャフト軸回転とは?
シャフト軸回転とは、クラブのシャフトそのものを軸にして、フェースを開閉せずにスイングするイメージです。一般的なフェースローテーション(手首を使ってフェースを返す動き)と異なり、クラブの軌道がシンプルになり、方向性が安定しやすいとされています。
体の軸とは別の話になりますが、「余計な動きを減らす」という意味では共通点も多く、軸を意識したスイングとの相性も良い考え方です。
ゴルフの上達には客観的に見てもらいアドバイスを受けることが効果的◎
ここまで「軸」に注目してスイングの仕組みを見てきましたが、実際に自分のスイングがどのタイプに近いのか、軸が保てているのかを自分だけで判断するのは簡単ではありません。回転軸のイメージや軸足の感覚、1軸か2軸かといった違いは、感覚だけではつかみにくく、間違った動きを続けると悪い癖が付く場合もあります。
だからこそ、客観的に見てアドバイスをしてくれる存在がいると、上達のスピードは大きく変わります。
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