ゴルフを始めて少し慣れてくると、もっと飛距離を出したい、もっと安定したスイングを身につけたいと感じる方も多いのではないでしょうか。そんな中で注目されているのが「GGスイング」。SNSなどで話題となり、プロゴルファーの中にも実践する選手が増えている新しいスイング理論です。
しかし、その独特な体の使い方ゆえに、アマチュアゴルファーには難しいといわれることもあります。
そこで今回は、GGスイングの基本的な理論から特徴、メリット・デメリット、プロゴルファーの実践例までを詳しく解説します。

GGスイングとは
GGスイングは、アメリカの著名なゴルフコーチ、ジョージ・ガンカス氏が提唱するスイング理論です。従来の常識にとらわれない独自の動きが特徴で、中でも「クラブを寝かせて下ろすシャローイング」「地面反力の活用」「強いハンドファースト」など、物理的に合理性のある動作が組み込まれています。
このスイング理論はSNSを通じて急速に広まり、世界中のゴルファーから注目されました。実際にガンカス氏の指導を受けた選手の中には、PGAツアーで優勝したプロもおり、その実績からも高い再現性と効果が評価されています。
一方で、体の動かし方に独特な部分があるため、初心者にはやや難しく感じられるかもしれません。
GGスイングの特徴
ここでは、GGスイングの特徴について詳しくみていきましょう。
ハンドファーストの強調されたインパクト
GGスイングの基本ともいえるのが、ハンドファーストの形でボールをとらえるインパクトです。これは、インパクトの瞬間にクラブヘッドよりもグリップ(手元)が前に出ている状態のこと。打ち出し角を抑えつつスピン量を確保し、力強く伸びる球を打つために欠かせない動きです。
この形を無理に手で作ろうとすると、クラブフェースが開いたりタイミングがズレたりすることがありますが、体の回転と連動させながら自然と作っていくGGスイングでは、方向性を安定させつつ飛距離も伸ばすことができます。
このことから、GGスイングはドライバーでもハンドファースト気味にインパクトするのが特徴です。
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極端なシャローイング
もう1つの特徴が、クラブを背中側に寝かせて下ろすシャローイングです。これはトップの位置からクラブを鋭角に振り下ろすのではなく、少し背中寄りの軌道で緩やかに下ろすことで、スイングプレーンを安定させるという考え方です。
この動きにより、クラブがインサイドから入ってきやすくなり、ダフリやトップといったミスを減らす効果も期待できます。初心者にとっては感覚をつかみにくい動きですが、トップの位置からインパクトにかけて「クラブが下りてくる道を作ってあげる」ような意識をもつと理解しやすくなります。
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左への突っ込みを抑える“その場回転”
スイング中に体が目標方向へ流れてしまうと、軸がブレてインパクトが安定しません。GGスイングでは、体重移動よりも体の回転を重視し、「その場で回る」ことを大切にしています。
特に、インパクトで左に突っ込むような動きはショットのばらつきやダフリの原因になるため、下半身を安定させながら体の中心軸をキープできるのがGGスイングの強みです。その場でスムーズに回転することでスイング全体の再現性が高まり、遠心力を活かした力強いショットも打ちやすくなります。
地面反力を活用したスピードの最大化
GGスイングで最もダイナミックな動きが、スクワットのように下半身を沈み込ませてから、地面を押し返すようにして体を伸ばしていく地面反力の活用です。
この一連の動作は、トップからの切り返しで両足で地面を踏み込み、その反発を利用してジャンプするように振り抜いていきます。すると、クラブヘッドが効率良く加速し、少ない力でも飛距離が伸びやすくなります。
また、ダウンスイングで下半身が沈み込むことで体の伸び上がりを防ぐ効果もあり、前傾姿勢をキープしたスイングをしやすいのも特徴の1つです。
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GGスイングのメリット・デメリット
ここでは、GGスイングの具体的なメリットとデメリットを解説します。
メリット
GGスイングの最大のメリットは、飛距離が出しやすい点です。クラブヘッドが体に巻きつくような動きと、地面反力による加速によって、少ない力でも効率良くパワーを伝えられるため、ヘッドスピードが上がりやすくなります。
また、シャローイングによるなめらかな軌道、軸を中心とした回転、ハンドファーストなインパクトといった要素が組み合わさることで、スイング全体の再現性が高まり、安定したショットを打てるのもメリットといえるでしょう。
デメリット
一方で、GGスイングは初心者にとって習得のハードルが高めです。特に、シャローイングやスクワット動作、ジャンプ動作など、慣れない動きが多いため、最初のうちはタイミングが合わずスイングがバラバラになってしまうこともあります。
また、体幹の安定や下半身の柔軟性がある程度求められるため、普段運動習慣のない人にとっては、体への負担や違和感を感じる可能性もあります。
さらに、その場での回転を重視するGGスイングは、ダウンスイングで右に体重が残りやすくなるのがデメリット。体重移動の仕方によっては合わないケースもあるため、無理にすべてを一度に取り入れるのではなく、少しずつ動きを分解して練習することが大切です。
GGスイングを取り入れているプロゴルファー
GGスイングは、理論だけでなく実践面でも高く評価されており、実際に取り入れているプロゴルファーも少なくありません。
ここでは、GGスイングを体現する代表的なプロゴルファーとそのスイングの特徴についてみていきましょう。
マシュー・ウルフ
マシュー・ウルフは、GGスイングの代名詞的存在として広く知られていますが、そのスイングはジョージ・ガンカスの理論を1字1句なぞったものではありません。ガンカス自身も「彼のスイングはすでに素晴らしかった。私の役目はそれを壊さず、整えることだった」と語っており、ウルフ独自の動きやクセを尊重したうえで、最適なマッチングを図る指導が行われました。
ウルフのスイングは、テイクバック前の大きな腰の回転、ジャンプするような切り返し、そして強烈な地面反力の活用といった特徴をもち、従来のスイング常識とは一線を画しています。その型破りなフォームは「病的なほど変則的」と評されたこともありますが、2019年のPGAツアー3Mオープンでプロ初優勝を果たし、その実力を証明しました。
藤本敏雪
藤本敏雪プロ、通称“フジモンティ”は、日本で唯一ジョージ・ガンカスから直接指導を受けたツアープロコーチとして知られています。GGスイングの第一人者であり、かつてはイップスに苦しんだ自身の経験からこの理論に出会い、スイングの刷新と指導者としての転機を迎えました。
現在は「プロを超えるようなスイングの美しさ」を追求し、これまでに1,000人以上のゴルファーにレッスンを提供しています。彼が提唱するグリップエンドの回転を重視した独自理論は、シャローイングやハンドファーストを自然に実現できる動きとして高く評価されています。
GGスイングは古いスイング理論?
GGスイングが登場したのは2010年代後半。当時はシャローイングやスクワットダウン、地面反力の活用といった動きが従来の常識を覆すものとして注目を集めました。多くのプロや上級者がこの理論を支持し、一躍話題となった背景があります。
現在では、これらの動きが欧米を中心に多くの指導理論に取り入れられ、ある種の「標準技術」として定着しつつあります。そのため、「もう古いのでは」といった声も一部で聞かれるようになりました。
しかし、GGスイングの本質は今もなお通用するものであり、色あせたわけではありません。実際に、トッププロの中にはこの理論をベースに自分なりのスタイルへ昇華し、成果を上げている選手もいます。
重要なのは、「GGスイング=すべてを真似るべき」ではなく、スイング理論の1つとして、自分の体やプレースタイルに合う部分を活用することです。
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GGスイングの打ち方
GGスイングを正しく身につけるには、独特な動作の1つひとつを理解し、段階的に体に染み込ませていくことが重要です。ここでは、GGスイングを構成する具体的な打ち方について、順を追ってわかりやすく解説していきます。
1)アドレスとバックスイングの基本姿勢を整える
GGスイングの出発点は、構え方とバックスイングの作り方にあります。アドレスでは背筋を伸ばし、お尻をやや高めに保ち、重心をかかと寄りに置きます。膝は軽く曲げ、構えに余裕をもたせることで、後の動きがスムーズになります。
バックスイングでは、右腰を後ろに回す“その場回転”を意識しましょう。自然と体のねじれ(捻転差)が生まれ、トップでの力の溜めを作ることができます。
2)切り返しでクラブをシャローに下ろす
トップからの切り返しでは、クラブを背中側に倒すように下ろします。これがシャローイングです。急激にクラブを上から振り下ろすのではなく、体の回転に任せてゆったりと軌道に乗せることで、クラブがスムーズにインパクトに向かいます。
ダウンスイングでは、左腰を低い位置のまま回転させることがポイント。左腰が高くなると右肩が下がり、クラブフェースが寝てミスショットしやすくなります。
また、下半身の動きが先行しすぎてしまうと手元が遅れてクラブフェースが開いてしまうため、肩・腕・下半身がバランスよく連動することを意識しましょう。
3)地面反力を使って振り抜く
GGスイングの仕上げは、地面反力を活用した振り抜きです。切り返しの直後に下半身を沈み込ませ、地面を踏む動きから反発を得て、一気に体を上方向へ伸ばします。このジャンプのような動きが、クラブヘッドを最大限に加速させるために欠かせません。
ただし、ジャンプの意識が強すぎると上体が早く起き上がってしまい、ミスにつながります。足裏でしっかり地面を感じながら、リズム良く動きを連動させることが重要です。
GGスイング習得に役立つ練習器具
GGスイングの動きを効率的に身につけるには、専用の練習器具を活用するのが効果的です。例えば「シナリアイアン」は、シャフトのしなりを体感できる設計になっており、クラブを寝かせるシャローイングの感覚をつかみやすくなります。
スクワット動作からのジャンプを伴う切り返しには、重量のある「GGマッチョ」を使うと、全身を連動させる意識を養うことが可能。また、「ダイヤスイング527」のような音が鳴る素振り棒を使えば、ヘッドスピードの向上やタイミングの習得にもつながります。
また、自宅での素振り練習でも、重めのクラブやシャフトにしなる工夫がされた練習器具を使うことで、地面反力やクラブのしなりの感覚をつかみやすくなりますよ。
【クラブ・ショット別】GGスイングのコツ
ここでは、それぞれのクラブ・ショットに合わせたGGスイングの具体的なコツを解説します。
ドライバー
GGスイングは、飛距離を求めるドライバーショットとの相性が良いです。クラブをシャローに下ろし、地面反力でジャンプするように振り抜く流れが、自然とヘッドスピードを高め、スピン量を抑えた力強い弾道を生み出します。
また、インサイドからクラブが下りることで、スライスの改善にも役立つでしょう。
飛ばしたい気持ちが強くなると、上半身から力んでしまいがちですが、下半身から動き出す意識をもち、体の回転を主導にすることがショットを安定させるカギです。
アイアン
アイアンでは、GGスイングの動きをやや抑えめにするのがポイントです。特に地面反力を意識しすぎると、上下動が大きくなってトップやダフリの原因になるため、腰の高さを保ったまま体の回転で振る意識が必要です。
シャローな軌道でボールの先にターフが取れるようになると、インパクトの質も安定しやすくなります。ダウンブローを意識しすぎず、自然な流れでクラブを落としていく感覚を大切にしましょう。
アプローチ
アプローチでは、GGスイングの特徴をすべて使う必要はありません。むしろ、地面反力のような動きは控えめにし、シャローな入射とハンドファーストの形を意識してコンパクトに振ることが大切です。
手先だけで打とうとすると距離感が合いづらくなるため、体全体で振るリズムをつかむようにしましょう。バンスを活かして芝を滑らせる感覚が身につくと、アプローチショットの成功率が上がります。
GGスイングを辞めた人に多い理由は?
GGスイングを始めたものの途中で挫折してしまう方には、いくつか共通した理由があります。
その1つが、動作の複雑さです。特にスクワット動作やシャローイングなど、これまでのスイングと感覚が大きく異なるため、なかなか体に馴染まず苦戦してしまうことがあります。
特に、スイング時の捻転動作が大きくなることから、柔軟性のない人は体に大きな負担をかけてしまうことも少なくありません。
また、理論の一部だけを真似してしまった結果、フォームが崩れてしまうケースも多いです。本来は動作同士が連動して意味をもつものなので、どこか1つだけを強調してしまうと、バランスを崩す原因になります。
さらに、情報が広く出回る一方で、本人の体格やプレースタイルに合わせた「マッチアップ」の視点が抜けてしまうと、かえって混乱を招きます。すべての動きを一気に取り入れようとせず、段階的に体に馴染ませていくことが大切です。
アマチュアゴルファーにはGGスイングは難しい?
GGスイングは理論的に優れている一方で、すべてのアマチュアゴルファーにとって最適かというと、そうとは言い切れません。理由の1つは、柔軟性や筋力、可動域といった体の使い方にある程度の下地が必要になるためです。
特に日頃から運動する習慣がない方や、長年自己流でスイングしてきた方にとっては、体に馴染ませるまでに時間がかかるかもしれません。
だからといって取り入れてはいけないわけではなく、「全部やろうとしない」ことが大切です。シャローイングの感覚だけをまず試してみる、動画でプロの動きを確認して真似してみるといったアプローチでも十分効果があります。
最終的には、続けやすい・理解しやすい・自分のスイングに合っている、この3つの視点で選ぶのがよいでしょう。
自分に合った練習法や上達のコツをつかむならゴルフレッスン◎
GGスイングは、飛距離と安定性の両立を目指した、理にかなったスイング理論として知られています。ただし、動作の難しさや体への負担が大きく、自己流で取り入れるとスイングが崩れてしまうこともあります。
特に初心者やアマチュアの場合、体の柔軟性や筋力、スイングのクセなども人それぞれ異なるため、自分に合った形で取り入れることが大切です。そのためには、ゴルフの動きを熟知した指導者のもとで練習するのが近道。
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