ゴルフ好きの間でときおり話題にあがる「直ドラ」。ドライバーで地面にあるボールを直接打つ、難易度の高いショットです。プロでも使う場面は限られますが、状況によっては有効な選択肢になり得る場面もあります。
この記事では、直ドラの特徴やメリット、練習方法や注意点まで、アマチュアゴルファー向けにわかりやすく解説していきます。

ゴルフの直ドラとは
まずは直ドラの基本的な性質や難しさ、プロの使用例について紹介していきます。
直ドラとは、ティーを使わないドライバーショット
直ドラとは、「直打ちドライバー」の略で、ティーを使わずにドライバーでショットすることを意味します。
通常、ドライバーはティーアップされたボールを打つ前提で設計されており、地面にあるボールを打つことは想定されていません。にもかかわらず直ドラを使う場面があるのは、ドライバーの飛距離を活かしたい状況の場合です。フェアウェイなどの平坦で芝が薄いライに恵まれたときや、やや左足上がりの傾斜のライ、ボールが浮いているライなどの場合に有効です。
あくまで特殊な場面で使うテクニックであり、一般的なショットではありません。使用するにはライの状況だけでなく、スイングの安定性も求められます。
直ドラが難しい理由
直ドラが難しいとされるのは、スイングの精度が大きく問われるからです。ティーアップをしない状態では、ボールの位置がわずかにズレただけで打点が不安定になります。
たとえば、クラブの最下点とボールが合わなければ、フェースが開いてスライスが出たり、トップしてボールが低く出たりと、安定した球筋を打つのが難しくなります。
また、ボールの高さが出にくいため、キャリーを稼ぎにくく、アマチュアでは飛距離が落ちるケースも少なくありません。ヘッドスピードが十分にない場合は、スピン量が増えて球が吹け上がってしまうこともあります。
さらに、地面にあるボールを打つこと自体がプレッシャーになります。フェースの下部に当たればクラブヘッドを傷つけるリスクもあるため、心理的な負担もかかるでしょう。
プロでも直ドラするのは稀
高い精度と条件が求められる直ドラは、プロでも滅多に使用されません。ただし、稀に成功例が話題になることがあります。
たとえば、2023年のRKB×三井松島レディスでは、岩井千怜選手がロングホールの2打目で直ドラを選択。フェアウェイから放たれたボールはピンから2.5ヤードの位置につけ、このプレーがプレーオフでの逆転優勝につながりました。女子プロの試合で直ドラが勝負を分けた、象徴的な一場面として大きな話題となりました。
また、2022年9月、日本女子オープンで菅沼菜々選手はセカンドショットをあえて直ドラを選択し、グリーン手前のバンカーに入れにいきました。狙い通りグリーン手前のバンカーに入れてそこから4メートルにつけ、パットを沈めました。通常ならリスクの高い直ドラを使いこなし、スコアメイクに結びつけた好例といえるでしょう。
このように、プロであっても「選択肢の1つ」として慎重に使うのが直ドラであり、使いどころと技術の両方が問われます。アマチュアにとっては、十分な練習と準備がなければ扱いが難しいショットだといえるでしょう。
直ドラのメリット
直ドラは難しいショットではありますが、打てるようになるとラウンド中のコース戦略の幅が広がります。
たとえば、ロングホールのセカンドショットで残り距離が長いとき、ドライバーを使ってグリーンに近づけることができる場面も出てきます。ティーが使えない状況でもドライバーの飛距離を活かせるため、クラブの選択肢が増えるのがメリットです。
加えて、地面から正確に打つ練習を重ねることで、スイングの安定性や打点の精度が高まる効果も期待できます。
直ドラの選択が適している場面
ここでは、直ドラが効果的に使える場面について紹介します。条件が整っていれば、難しいショットでもしっかり武器になるでしょう。
フェアウェイがフラットで芝が薄いとき
ライが平らで、芝が薄くボールが沈んでいない状況は直ドラに適しています。地面との接触リスクが少なく、ドライバーのフェース下部でもクリーンに当てやすいためです。
とくにフェアウェイの中央にボールがあるときは、試してみる価値があります。
ロングホールのセカンドで距離を稼ぎたいとき
パー5などでグリーンまで距離が残っているとき、ドライバーの飛距離を使って一気に前進させたい場面があります。
スプーンやユーティリティよりもキャリーとランが出せる可能性があり、2オンを狙うチャンスが広がります。バーディチャンスにつなげることも可能でスコアメイクに役立ちます。
左右のミスを避けたいとき
ドライバーはほかのフェアウェイウッドよりもシャフトが長く、ミスの幅が大きくなりがちですが、逆にスイングの最下点が安定すれば、ボールを狙った方向へ正確に飛ばせます。
プレッシャーがかかる場面で、「自分の得意なクラブ」として直ドラを選ぶという選択肢も出てきます。
ティーが使えない状況で飛距離を出したいとき
ティーショット以外は基本的にティーアップができません。ラフではなくフェアウェイにあるボールで飛距離が求められる場面では、ドライバーを使えればアドバンテージになります。打てる自信があれば、武器として心強い存在になります。
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直ドラの打ち方のコツ
難易度の高い直ドラですが、いくつかのポイントを意識すれば成功率を上げることができます。ここでは打ち方のコツを紹介します。
ボール位置はやや左足寄りに置く
ドライバーはスイングの最下点の先でインパクトする設計になっているため、通常よりもやや左足寄りにボールをセットします。
あまり左に置きすぎるとフェースが開いてスライスしやすくなるので、目安は左足かかとの内側あたり。無理に打ち上げようとせず、自然なレベルブローで振り抜くイメージを持ちましょう。
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体重移動は抑え、軸を安定させる
直ドラでは、クラブが少しでも地面に当たるとダフリやミスショットの原因になります。そこで重要になるのが軸のブレを抑えること。大きな体重移動や過度なタメを意識せずに、スイングの中心軸を保ったまま、振り抜きをコンパクトに保つ意識が有効です。
振り回すより、バランスのよいスイングを重視するほうが安定します。
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ヘッドスピードよりもミート率を重視する
直ドラで飛距離を出そうとすると、つい力が入りがちですが、無理にヘッドスピードを上げても芯を外せば逆効果です。むしろ、しっかりミートすることのほうが重要で、芯でとらえれば十分な飛距離が得られます。
練習では、ゆっくり振って確実に芯に当てる感覚を身につけてから、徐々にスピードを上げていくと良いでしょう。
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直ドラしやすいドライバー
直ドラを打ちやすくするには、使用するドライバーの特性にも注目する必要があります。
一般的に、ヘッド体積が小さめで重心が浅いモデルは、地面からでもボールをとらえやすくなります。とくに注目されているのが、ヘッドが小型なミニドライバーや、全長が短めに設計された短尺ドライバーです。これらは振り抜きやすく、スイング軌道も安定しやすいため、直ドラとの相性が良いとされています。
ロフト角は10度以上あるものを選ぶと、ボールが上がりやすく、ミスのリスクも減らせます。普段使っている大型ドライバーと比較して、状況に応じた使い分けも選択肢に入ります。
直ドラの練習について
実際にラウンドで使う機会は少ない直ドラですが、練習を通じて得られるものは意外と多くあります。一方で、注意しておきたい落とし穴も。
ここでは練習による効果や注意点、具体的な練習方法について解説します。
練習効果
直ドラはシビアなショットであるぶん、ミスの原因がはっきり表れます。そのため、スイング軌道やインパクトのズレに気づきやすく、フォームを整えるきっかけになります。
とくに、ボールの芯をとらえる感覚や、フェース面の管理力を磨くには最適です。ドライバーの操作に対する意識が高まり、通常のティーショットにも良い影響を与えることがあります。
また、アドレスの姿勢やスイング中の軸の安定も求められるため、全体的な基礎力を底上げする練習としても効果があるといえるでしょう。
練習することによるデメリット
一方で、直ドラばかりを練習していると、通常のドライバーショットとの感覚がズレてしまう可能性があります。ティーアップされたボールと地面から打つボールでは、スイングの入り方や打点の位置が微妙に異なるため、意識の切り替えが難しくなることも……。
また、ミスが続くとスイングに迷いが生じ、悪い癖がついてしまうリスクもあります。クラブへの負荷も大きいため、頻度や力加減には注意が必要です。
練習方法
まずは、以下のステップで直ドラの基礎を身につけていきましょう。
- フラットで芝の薄いマットを選ぶ
- ボールを左足かかとの内側にセットする
- フェースをまっすぐ構え、アドレスの軸を意識する
- ゆっくりとしたスイングで芯に当てることを最優先にする
- 慣れてきたらスイングスピードを徐々に上げていく
はじめは飛距離や球筋よりも、「クリーンに当てる」ことを重視しましょう。強く振りにいくとミスが増えるため、スイングのバランスを崩さない範囲で取り組むのがポイントです。
1球ごとに動画でスイングを確認するなど、フィードバックを意識すると上達が早まります。
【FAQ】直ドラに関するよくある質問
直ドラは珍しいショットだからこそ、気になる疑問や不安も多くあります。ここでは、よくある質問を3つ取り上げて解説します。
マナーやルールで直ドラが禁止されることはある?
ゴルフ規則上、ティーイングエリア以外ではティーアップができないため、地面から打つ直ドラはルール上まったく問題ありません。また、マナーとしても特別に禁止されているわけではなく、ほかのクラブと同じ扱いになります。
ただし、練習場では芝やマットの保護を理由に「ドライバー直打ち禁止」としている施設もあります。ラウンド中のマナーとしては、フェアウェイを大きく削るようなスイングにならないよう気をつけましょう。
直ドラをするとドライバーが壊れる?
直ドラはクラブにかかる負担が大きいため、無理な打ち方をすればヘッドやシャフトにダメージを与える可能性があります。とくに、地面を強く叩いてしまうと、フェース面やソールが傷ついたり、ネック部分がゆがんだりすることもあります。
ただし、正しいスイングで芯をとらえられれば、極端にクラブが傷むことは多くありません。練習場で繰り返し打つ場合は、使用頻度やクラブの状態に気を配りましょう。
セカンドショット以外で直ドラするのはあり?
直ドラといえばセカンドショットのイメージが強いですが、状況によってはそれ以外の場面でも使われることがあります。
たとえば、ティーアップせずに打ちたい戦略があるときや、風を避けて低弾道で運びたいときなど、意図的に選ばれるケースも。あくまで状況と自分の技術を踏まえたうえでの選択となりますが、使いこなせればプレースタイルの幅が広がります。
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直ドラのような特殊なショットは、打ちっぱなしの練習だけではなかなか感覚がつかみにくいものです。ライの状態や傾斜、風の影響など、実際のコースでしか体験できない条件が多くあり、状況判断や番手選びの力も含めて初めて「使える技術」になっていきます。
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